国達と謎のダンジョン１０ (ページ16)

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離れた温もりページ16

一緒に温泉街を回る事になった。

沢山和菓子が売っていて、お菓子が好きなロシアとウクライナはキョロキョロ目移りが激しい。

アメリカには日本のお菓子は甘さが足らないのが多いらしく、あんまりお菓子は見ないで妙な土産を見ては喜んで写真を撮っていた。

折角日本に来たんだからと、近くにあるお城を見る。

枯れ木に囲まれた城は情緒があると喜んで写真を撮るフランスに、ドングリを拾っては懲りずに食べようとするイタリアに止めるドイツと日本。

アメリカは相変わらずよく判然らないものを撮って満足げだった。

私はそんな彼等を焼き食べるロシアと手を繋ぎ見ていた。

ロシアは日本に呼ばれて私の手を離して嬉しそうに駆け寄って行った。忍者っぽい服装の人を見て暴走するアメリカの捕獲の為に駆り出されたようだ。

「人攫いにあったら危ないから、手を繋いどいてやるよ」

プロイセンがそう言って、私の手を握る。ちょっと冷たい手だなぁ。

ぎゅっと私の熱い手で温めてあげると、「Aの手は温かいな」と笑った。

「手が冷たいと心が温かいんだよ」

「なら手が温かいAはもっと心が温かいんだな」

なにそれと言うと彼は笑った。もー…

「ほら、俺様の事はお兄ちゃんって呼んでいいんだぜ」

「お…お兄ちゃん…」

凄く嬉しそうな顔をしたので呼んで良かったと思う事にした。

「あ…ロシアが呼んでるから行けよA」

「プロイセンは行かないの？」

「俺様あいつ苦手」

そう言って離れたプロイセンの手は、私の体温が移って暖かかった。

「じゃあ、集合場所であおうね！」

「……ああ」

そう言って笑って手を振って去るプロイセンが、何故だか悪夢の中と重なってしまい、思わず追おうとしたのをアメリカの体当たりで止められてしまった。

集合場所にプロイセンは来なかった。

彼の荷物もなかった。

ロシアの家の中にも、ドイツの家の中にも、何処にも――