夢の中の迷い子７ (ページ6)

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手鏡の中に映る彼等ページ6

「お二人とも、この手鏡はどうもやんちゃなようで手に負えません」

ボロボロの研究者がやってきて、傷一つない手鏡を私に渡してくれた。心なしか手鏡が満足そうに光った…気がした。

「攻撃を加えてでもAに向かう、か。呪いと魔法が加わってやっぱりヤバイ代物になってるな」

イギリスが手鏡を覗き込む。そして嫌そうな顔をして見るのを止めた。

うん、凄みのある声が聴こえるね。気のせいと思いたいけど絶対そうは思わせるまいといった、頑固な意思を感じるよ。

「どうして君がAの隣に居るのかな？狡いなぁ…僕の親友を独り占めにして狡いなぁ。A、帰ってきたら一緒にご飯食べて一緒にお風呂に入って一緒にお出掛けして一緒に寝ようね？もうずっと目を離さないから」

「酷いよイギリス！俺を連れて行ってくれないなんて！Aの世界をみてみたいし遊びたいし、後はそのままアメリカに連れて帰りたかったのに！それで俺の妹になればずっと一緒だよ！Aだって嬉しいだろ？そうだろ！」

「Aの身体は後少しで完成しますよ。燃やしたり、捨てたりなんて事は致しません。完成した身体に魂を移らせますのでお待ち下さいね。後、ロシアもアメリカも物騒ですし、日本においで下さい。お待ちしておりますよ。我が家なら安全です。悪い人が来たら長刀で刺しますから」

ロシア、アメリカ、日本の順で繰り出される言葉に、イギリスは項垂れた。

私？もう頭の中が真っ白だよ。

だって考えてもみて欲しい。あのヤバイ発言の数々は画面越しだから気にならないんだよ。もし現実になったら…なったら…コワスギテナク。

「お前ら！Aを怯えさせてどうすんだよ！お前らの頭が冷えるまで俺の隠れ家に連れて行くからな！」

ぶち切れたイギリスはそう言うと、手鏡をぐるぐるに巻いて私のカバンに突っ込んだ。

「…イギリスありがとう」

「…強く生きろよ…出来る限り助けてやるから…」

泣きそう。