扇風機とロシア ページ3
異常気象はロシアにもあるようで、今日は珍しく気温が高めだ。ついこの間雪が降ったばかりなのに恐ろしい気温差。
その気温差にヤられてくったりしているロシアが、私の背後に居る。他の人達はロシアよりも暑さに慣れているので、冷たいジュースを飲むだけで大丈夫そうだ。
扇風機の前をロシアが占領している。その大きな体躯は中型扇風機を簡単に隠してしまい、誰にも行き届かない。アイスを食べながらぼーっとしている。ロシアがだんだんと動物園に捕獲された白熊みたいに見えてきた。
「大丈夫?」
「溶けそう」
「なら離して」
「やだ」
この暑さにヤられてくったりしてる白熊さんは、私を膝に乗せるのを意地でも止めなかった。お気に入りのおもちゃを離さない子供か!
じっとりと汗が互いの服に染み込む。ロシアは汗腺があんまりないからほとんど私の汗だ。お願いだから離して欲しい。物凄く暑い。
「扇風機って全然涼しくならないね」
「私を抱き抱えてるからかと」
「…汗の匂いがするね」
匂いを嗅がないで!いろんな意味で死ねるから!
「さ、最悪!今すぐ私を離して!」
「嫌じゃないから気にしないで」
「意味わかんない!」
「それに離したらセクハラしに行くんでしょ?駄目だって言ったじゃない」
「やらないよ!汗が嫌なんだよ!」
私が暴れていると、アメリカがよしっ!と言いながら何かを付けた。今の向きだと何も見えないけど涼しくなってきたし…クーラー付けたのかな?
「わぁ…涼しいのがくる」
ロシアは嬉しそうに扇風機の前でそう言った。あっちのソファーに行こうよ。そして横に下ろしてよ。
クーラーを付けたアメリカが迅速に近寄ってきて、ロシアから私を奪還した。晴れて自由の身に…「ちゃんとマッサージしてもらうよ!いいよね?拒否は認めないんだぞ!」ならないらしい。
「Aを返してよ!」
「マッサージ終わったら返すよ!」
私はマッサージ機じゃねぇぞごるぁ!
33人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ヴァーニャ | 作成日時:2015年6月13日 18時