11 another side ~yellow~ ページ12
「坂田、橘さんの住所わかるか？」
「は！？どうゆうことやねんいきなり！」
「色々あって送ることになってんや今！ええからわかるか？」
「えっと、確かメモが……あ、あったこれや。〇〇町やで！」
「わかった。すみません、〇〇町までお願いします」
坂田と通話をしながら怒涛の勢いでタクシーに乗り込む。
橘さんを隣に座らせると、力が入らないのかこてん、と僕の肩にもたれかかってくる。
起こすのも可哀想やな、と思いそのままにしておくと電話の向こうで坂田がため息をついた。
「ったくAは！センラがおらんかったらどうしてたんや、まったく！」
「僕じゃない人が送ってたんやない？」
「……うぇぇ、絶対アカンことになるやん。A、危機感とか女子力とかないから」
「……まー、かわいい顔しとるもんなあ」
隣で眠る顔をちらりと見て言っただけなのに、坂田が「はぁあ！？？」と怒鳴った。
「せっセンラ、Aみたいなんがタイプだったんか！？え、い、いや、センラとAが結婚したら俺とセンラ親戚になるんか…！？」
「はあ？なんやそれ？落ち着けって…僕はただ、普通にかわいいって褒めただけやって」
「あ、あぁ、そんならええわ……」
と、不意に荒い息が聞こえた。
隣を見ると、明らかに橘さんの様子がおかしかった。顔が赤くて息が荒くて、……いやこれまさか。
「すみません運転手さん。ドラッグストア、寄ってもらえますか？」
坂田から教えてもらった住所に辿り着き、熱冷まシートやらヨーグルトやらが入った袋を持ってまた橘さんを抱きかかえてタクシーを降りる。
………酔ってるし熱もあるみたいやし、別にセクハラやないよな。
「橘さん、すみません。ちょっと失礼しますよ。坂田から許可は貰ってるんで」
彼女の鞄から鍵を取り出し、部屋に入る。
玄関に寝かせておくわけにも行かないしなあ、とできるだけ無心になって寝室らしき部屋に彼女を寝かせる。
熱さまシート貼ったらすぐに帰ろう。あとは坂田から連絡してくれるって言うてたしな。
坂田に報告のLINEをしながら彼女を見るとさっきよりはいくらか息も安らかになっていた。
「まさか、あん時助けた子がなぁ……偶然って強いわ」
坂田のいとこ、と聞くと確かに少し似てるような気もしてくる。
会社の荒廃、友達のいとこ、という不思議な関係の彼女の頭を一度だけ撫でて僕は家を出た。
続く (更新停止中)
お気に入り登録で更新通知を受け取ろう
←10 another side ~yellow~
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 507人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「歌い手」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
貴音 - あの、最後の会社の後輩が荒廃になってます…とっても面白かったです！楽しみにしてます！ (2017年11月18日 15時) (
レス) id: a859e8b561 (このIDを非表示/違反報告)
まるさん - 最高…センラさん凄い…身長…（語彙力）（） (2017年10月3日 20時) (レス) id: 64ae1b44be (このIDを非表示/違反報告)
人間になりたい豆腐(プロフ) - よしなさん» よしなさんありがとうございます！もっと面白くなるように頑張ります！ (2017年8月27日 23時) (レス) id: ded2846a53 (このIDを非表示/違反報告)
よしな - とっても面白いですね！これからも頑張って下さい！ (2017年8月27日 21時) (レス) id: 8444393bfc (このIDを非表示/違反報告)
人間になりたい豆腐(プロフ) - ふらっぺさん» コメありがとうございます！更新遅くて申し訳ありません。面白いって言っていただけて嬉しいです！更新頑張ります！ (2017年8月23日 17時) (レス) id: 60f7696cdf (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：人間になりたい豆腐 | 作成日時：2017年7月12日 1時
