10 another side ~yellow~ ページ11
「橘さん！？大丈夫！？」
大きな声に振り向くと、彼女＿＿＿橘さんが真っ赤な顔をして床に倒れていた。その周りを囲む人達。
「ぅ、はい……ぅぅ」
うめき声のようなちいさな返事が微かに聞こえた。
……酔ったにしては、顔が赤い。まさか、熱でもあるんやないか？
『なあ、センラ』
ついさっきの坂田の言葉を思い出す。
以前痴漢から助けた女の人は坂田のいとこで僕と同じ会社だった＿＿＿嘘みたいな話だが、本当だ。
坂田は少し躊躇ってから、珍しく不安そうな声で言った。
『Aは俺の……大事な、いとこなんや。でも、俺は東京にいるからあいつを守ってやれへん。やから＿＿＿、』
『何かあったら、センラ、お前が守ったってくれへんか……？』
守るなんて大袈裟やな、なんて言葉を思わず飲み込んでしまうほど坂田は真剣だった。
「＿＿＿メンバーのお願いやからな」
「？ 先輩？二次会、行かないんですか？」
「悪い。先行ってて貰えへん？」
後輩にそう言って、彼女を囲む輪の中に入っていく。
思いがけない僕の登場に、当然ざわめく社員たち。
「＿＿＿僕が、送っていきます」
彼女の肩を担ごうとしてかなり身長差があることに気付いて少し躊躇ってから、俗に言う“お姫様抱っこ”をする。
きゃっ、と声が女性社員から漏れる。
「すみません、タクシー呼んでもらえますか？」
「あ、は、はい」
軽っ。女の人って、みんなこんな軽いんか？
「ん、ぅ………ゆ、うくん……？」
小さな呟きが聞こえた。
……“ゆうくん”とは、坂田のことだろう。意識がはっきりしてないから、僕と坂田を間違えたんだろう。
「ちゃうで。僕は“センラ”ですよ」
思わず、彼女の柔らかな髪を撫でながら小さな小さな声で囁く。
彼女は、僕の秘密に気付かない。
僕が歌い手＿＿＿“センラ”だとは気付かない。
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貴音 - あの、最後の会社の後輩が荒廃になってます…とっても面白かったです！楽しみにしてます！ (2017年11月18日 15時) (
レス) id: a859e8b561 (このIDを非表示/違反報告)
まるさん - 最高…センラさん凄い…身長…（語彙力）（） (2017年10月3日 20時) (レス) id: 64ae1b44be (このIDを非表示/違反報告)
人間になりたい豆腐(プロフ) - よしなさん» よしなさんありがとうございます！もっと面白くなるように頑張ります！ (2017年8月27日 23時) (レス) id: ded2846a53 (このIDを非表示/違反報告)
よしな - とっても面白いですね！これからも頑張って下さい！ (2017年8月27日 21時) (レス) id: 8444393bfc (このIDを非表示/違反報告)
人間になりたい豆腐(プロフ) - ふらっぺさん» コメありがとうございます！更新遅くて申し訳ありません。面白いって言っていただけて嬉しいです！更新頑張ります！ (2017年8月23日 17時) (レス) id: 60f7696cdf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：人間になりたい豆腐 | 作成日時：2017年7月12日 1時
