青いタイダイ屋さん (ページ8)

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出会い編8 ページ8

すっかり馴染みになったパン屋さんに着いたのは、空が赤くなり始めた頃だった。

「すいません、遅くなりました。」

「あ、ご苦労さま。今、持ってくるね。」

「はい。」

あ、今日はまだあんぱんがある。
買ってこうかなぁ。

「はい、お待たせしました。」

「お代のほうは·····。」

「またもらうから、大丈夫だよ。」

「わかりました。では、」

「あ、そうそう、これ持ってってよ。」

「はい？」

「これ、いつものあんぱん。」

「え？良いんですか？」

「子供のお駄賃じゃないんだけどね。(笑)
はい、どうぞ。」

「ありがとうございます。」

頂きものをして、ウキウキした気分で自転車に乗った。

はずなのに、

防波堤に座ってる人を見つけて、かたまって
しまった。

Tシャツ屋さん·····。

私は自転車をおいて、彼の元に急いだ。

なぜなら、彼はうつむき、今にも倒れそうだったのだ。

「Tシャツ屋さん！」

「え？」
そう言って顔をあげた彼は、赤い顔をしていた。

「大丈夫ですか？
大丈夫じゃないですよね。」

吐く息も熱っぽい。

「こんな所で何してるんですか！」

「ちょっと·····ね、気分·····てんか·····んに。」

私は彼のおでこに手をあてた。

「こんなに熱があるじゃないですか！」

「大丈夫·····だ、か、ら、怒ら、な、い、で」

そう言うと私の所に倒れこんできた。

ど、どうしよう。

とりあえずマスターに電話をして、助けを
求めた。