横子さんの憂鬱�� ページ42
横子さんの涙
「夢なんて、いつ出会うかなんて、わかりませんからね。」
「あら、そうなの？
村上さんの夢って何なんですか？
不動産屋さん？」
「それは今の仕事ですわ。(笑)
実家の仕事でね。」
「それじゃ、キャスターは？」
「それがある意味、夢ですわ。
ほんまはスポーツキャスターになりたくてね。
でも家の仕事もやらなあかんし。
悩みましたわ。
でも、どちらかに絞るというよりは、
両方やってやろうと思ったんですわ。」
「で、両方やってるのね。なるほど！」
「また、やりたい事も増えるかもしれんしね。」
「俺たちも、海の見える場所でカフェをやりたいという夢に一歩近ずいたんだけど、それはまだ夢への第一歩であって、始まりなんですよ。」
「この店は、どうするんですか？」
瞬間的に、ここからいなくなってしまう、
と思ってしまった。
せっかく出会えたのに、別れが来てしまう。
そんなの、寂しい。(悲)
そんな感情が頭に溢れてしまった。
「まだ先の話なんですけど。」
「横子さん、泣きそうな顔してる。(笑)」
「だって、だって。
せっかくお知り合いになったのに、」
「別に永遠に別れちゃうわけじゃないのよ。」
「倉子ちゃんは平気なの？」
「平気よ。
だって新しいお店に行けばいいんだもの。」
この言葉を聞いた途端、涙が溢れてきた。
「私、まわりの人がみんな自分から離れて行ってしまうから、何故かなって思ってたの。
でも違ったのね。
私、相手の人ばかりに求めすぎて、自分から何もしてなかった。
自分から動けば、また違った世界が始まるのね。」
「そうですよ。
私たちだって新しい店になっても、ぜひ来て欲しいと思ってますから。
っていうか、新しい店をみんなで作りたいとも、思ってますから。」
「私・・・も？」
「そうですよ。
みんなが気楽に集える場所、
私たちが目ざしてるのは、そんな場所ですから。」
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作者名：niko | 作成日時：2019年12月27日 22時
