横子さんの憂鬱�� ページ34
やすと横子さん
どうしようかしら？
やっぱりやめといた方がよいかしら？
でも、丸山さんの昔のお話は聞いてみたいし。
失礼になってもいけないし。
bar bigbearの店の前。
入ろうか入らないか迷ってる。
いろいろ考えすぎて、いつも前になかなか進めない。
石橋を叩いても、渡れないタイプなの。
はぁ〜。
このドアさえ開けられたら。
倉子ちゃんみたいに行けたら良いんだけど。
「あの〜入らないんですか？(笑)」
入口のドアが開き、ひょっこり安田さんが
顔を出した。
「来てくれたんですね。
ありがとうございます、どうぞ。」
笑顔で私を招き入れてくれた。
「お邪魔します。」
そう言うと私は店の中に入り、カウンターの左隅の椅子に座った。
ふ〜、何とかここまで来たわ。
「今日はおひとりなんですか？」
「はい、近くまで来たものですから。」
「そうなんですね。
よくお寄りくださいましたね。
何かお飲みになりますか？」
「では、何か軽いカクテルありますか？」
「では、スペインのお酒で、サングリアとかどうでしょう。」
「あ、いいですね。
それでお願いします。」
「かしこまりました。」
「実はこの前つい飲みすぎてしまって。」
「そうなんですか？」
「楽しすぎて、ついつい進んでしまって。(笑)
丸山さんに家まで送ってもらっちゃいました。」
「丸は優しいから、大丈夫ですよ。」
「同級生なんですね。」
「大倉と丸と俺、同じクラスだったんです。」
「仲が良いんですね。」
「そうですね。」
「あの〜。」
「はい？」
「今日は大倉さんいらっしゃらないんですね。」
「そうなんです。
今日は用がありまして。
実は海の見える場所でお店をやるっていうのが私たち二人の夢でして。
その物件が見つかったので、見に行ってるんですよ。」
「素敵な夢ですね。」
とは言ってみたものの、
確かに二人の夢って言ったわよね。
聞き間違いじゃないわよね。
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作者名：niko | 作成日時：2019年12月27日 22時
