傷ついた心の癒し方 ページ17
「なぁ、傷ついた心の癒し方って知ってる？」
またも突拍子も無い言葉で俺の一日が始まった。
「お前さぁ〜。朝から何言うてんの？」
ダブルベッドの中でスヤスヤ寝息を立てていたと思ったら、突然この言葉。
「やす、悪い夢でも見たん？
それとも何か思い出したん？」
俺はやすのふわふわな髪をかきあげ、おでこにKissを投下した。
「むふふふ❤」
「やす、我慢したらあかんよ。
なんでも俺に言うてな。」
「ありがとう、たっちょん。
俺ないつも思ってるねんけどな。」
「え、何？」
「体のどこかにな、スイッチがあってな、
そこ押すと心がリセットされるっていう。」
「スイッチ？」
「そうやねん。
心の傷みをとるスイッチ。」
俺はやすの体を抱きしめた。
「おまえ、何かあったんやな。
ちゃんと話さんと、わからへんで。」
抱いていた手を離し、俺たちは向かいあって座った。
「今まではな、我慢できてたん。
どんなことを言われてもな、耐えられてたん。でも、年を重ねる毎に心の傷みが取れないようになってきちゃって。」
「辛いんか？」
「うん、また何か言われるんじゃないかって、」
「感じるんだな。」
「そうなんだよね。」
「気にしなきゃ良いんだけど。
それだけの事なんだけどね。」
「それってさ、相手と自分の意見があわないことで、自分のことを否定されてるって思ってない？」
「あー、確かに。」
「そやろ、相手もな自分の意見を言ってるだけで、決して傷つけたいと思って言うてるわけじゃないと思うで。」
「そっかぁ〜。」
「今はさ、SNSの時代だから、自分の意見を発信しやすくなってるやろ。」
「うん。」
「だからさ、その意見に賛成する人もあれば、反対する人もいる。」
「うん。」
「それがだんだんエスカレートしてくると
炎上になっちゃうんじゃないのかな。」
「たっちょんって、すごいよ。」
「だからさ、自分で自分のこと、否定しなくても良いと思うで。」
「そうなんかな？」
「うん、自分の心を癒せるのは、自分が一番だと思うで。自分のことはさ、自分がよくわかってるんだからさ。」
「それじゃさ、傷ついた心の癒し方は？」
「そんな自分を褒めてあげること。
そして、」
「そして？」
「大好きなひとに抱きしめられる事。❤
では、いただきまーす。」
「ちゃんと癒してね。」
「もちろんです。(笑)」 fin
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作者名：niko | 作成日時：2019年8月1日 13時
