短編集 1 (ページ47)

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ひとり 3 ページ47

緑side

フル回転した頭が気がついたのは、

紅白の時はやすは元気だった。

カウントダウンの時も、最初は元気だった。

友よ、もいつも通りハイテンションだった、

ということは、

俺の頭の電球が、ピカっと光った。

あれや、チューチュー6や。

そういえば、あの前あたりから様子が変だった。
遠い目をしていた。

俺が見ているのにも気ずきもしない。

いつもなら、「何やねん、なんかくすぐったいわ。」とか言ってケラケラ笑ってくれるのに。

あの時もっとちゃんと聞いてあげてたら、
良かった。

俺のバカ！

俺はずっとやすが好きだった。

今も好きな事には変わりはない、

むしろ愛情は増している。

だけど、あいつには、心に秘めた人がいたから、ずっと友達であまんじてきた。

仲間であり同士であり、友達。
そこには、愛情という言葉は入れてもらえなかった。

それが2年連続で彼の片思いは終止符をうつことになった。

彼の元から、去ってしまったのだ。

「いなくなっちゃったぁ。
俺の思いが強すぎたのかなって弱々しく笑う彼をただただ見つめるしか出来なかった。」

「やす、心が痛いん？」

弱っていたやすを物にするには、格好のチャンスだった。

でも、そんなことをして得たいとも思わなかった。

俺、何十年待ったと思ってるねん。