短編集 1 (ページ45)

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ひとり 1 ページ45

カウントダウンライブが終わった俺たちは、
毎年恒例の初詣でに行くために車に乗った。

「今年はおまえ、コケるなよ。」

そうだった。
去年の今頃はちょっとした段差につまずき、
足を折るというハメになったのだった。

「おまえらほんとに仲がええから。」

「え？なんで？」

「だって骨折したやろ。」

「あー、やすもやった。」

「おまえらは慎重に歩けよ。(笑)」

明治神宮は、初詣の人で溢れかえっていた。

「迷子になりそうやな。」

「俺、迷子はいやや。
一人になりとうない。」

いつもニコニコしているやすが何故か今は
泣きそうな顔をしている。

「どうしたん、やす？
どこか痛いんか？辛いんか？」

「あんな·····。」

「ん？ちゃんと言うてみ。」

「俺、痛いねん。」

「どこが？背中か？腰か？」

「ううん。」

「それじゃ、どこが？」

「心が(泣)」

俺は頭をフル回転させて今日のやすを思いだしていた。