倉とやすの物語�� ページ10
倉とやすの物語��
おーくらside
「ほら、こっちおいで。」
部屋の隅にうずくまっていたやすに
俺は優しく語りかけた。
「どうやって入ったの？」
「どうした？
こんなところでうずくまって、
なんか様子が変だったから、マネに合鍵を
借りたんだ。」
「そっか・・・。
そういうことだよね・・。」
「なぁ、ほんまにどうしたん？
そんなに寂しそうな顔して。」
「・・・。」
「俺、めっちゃ心配なんや。」
「ど、どうして？」
「俺ら、友達やんか。
親友やんか。」
「友達・・・？
親友・・・？」
ここでホンマの俺の気持ち、
言ってもいいだろうか？
「あんな、やす。」
「・・・。」
「今から言う事は、俺のほんまの気持ちだ
から。
嫌だったらそっと首を横に降ってくれる？
そしたら俺、そっと帰るから。」
「おーくら・・・。」
「俺な、お前のことが好きやねん。
ずっとずっと、出会った頃から。
でもメンバーやし、友達やし
ずっとそばにいるだけでええって思ってたん
や。
でもな、もう耐えられへんねん。
お前の辛い顔、寂しそうな顔見てられへん
ねん。
俺はお前を守りたい、
お前のために何かしたいんや。
お前が心から笑ってくれるまで。
そばにおりたいんや。
そう言い終わってやすの顔を見ると、
肩を震わせ泣いていた。
お前、どんだけひとりで我慢してたんや。
「ほんまに、ほんまにそばにおってくれる
ん？
俺のこと、ひとりにしない？
いつもいつもそばにいてくれるん？
うそついたりしない？」
やすの抱えている物の大きさに、
俺の胸ははち切れそうになり、
気がついたらやすの体を抱きしめていた。
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作者名：niko | 作成日時：2021年3月15日 19時
