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ふたりきりのクリスマス⑨ ページ9

ふたりだけの部屋

やすside

「お邪魔しまーす。」

そう言うと俺はおーくらの家に入っていった

勝手知ったる我が家？

それこそおーくらとは高校の時から一緒で、

今は家族よりも一緒にいる時間が長い。

だから、おーくらの事は誰よりも知っている

と自負している。

家具の趣味も配置も。

「今用意するから、ソファー座っといて。」

「ありがとう。」

俺は持ってきた絵を壁に立て掛けた。

喜んでくれるかな？

今になって、ちょっとドキドキしてきた。

「やす、お待たせ～。」

リビングに行くと、机の上にはワインと

さっき買ってきたチキンが綺麗にお皿に並ん

でいた。

天井の電気は消され、その代わり机の上には

二本のキャンドルが、輝いていた。

「じゃあ、食べよ。」

机に向き合うように座る男二人。

「MerryX'mas ！」

「MerryX'mas ！」

グラスをふたりであわせた。

「ん～、美味しい。」

「お姫様、お気に召して、いただけまし

たか？」

「とっても。」

「あ、そうだ。

これ、渡しておかないと。」

「あ、プレゼント。」

「そうやで。」

そう言うと、おーくらは俺に小さな箱を

手渡してくれた。

「姫、開けてみて。」

俺はクリスマスラッピングされた箱を、

丁寧に開けた。

「うわぁ、綺麗。

これ、何で出来てるの？」

「天然石だよ。

ハワイアンジュエリーでね。

いろいろな意味があるんだよ。」

「そうなの？」

「お守りだよ。

ハワイの大自然の力がこれからやすを守っ

てくれるんだよ。」

「ほんまに？

ありがとう、おーくら。」

「まぁ、俺がお前を守るのは絶対なんやけど

俺がいない時には俺の代わりにこの石たちが

守ってくれるんだよ。」

「ブレスレット？」

「これはね、そう。

それでこっちはアンクレット。

おまえ好きやろ。」

「うん！」

俺はおーくらの前でさっそく身につけてみ

た。

その途端、体が温かくなるような感じがし

た。