ふたつ手と手。 ページ49
おーくらside
しばらくへたりこんでいると、LINEが入った
音がした。
急いで見ると、
やすの顔の写真が送られてきた。
その姿は、
ピースをして微笑む顔。
が、その顔は浮腫んでいて、
頭の包帯が痛々しい。
「俺、めっちゃ変顔やろ?(笑)」
写真に添えられた言葉。
どう返したらええのか、
やすを傷つけずに返す言葉を探した。
あ、そっか。
俺は携帯で自分の顔を写した、
おもいっきり、変顔して。
そしてこの言葉を添えた。
「変顔なら、負けへんで。」
すぐにLINEに返信があった。
「おーくら、おもろいわ。(笑)」
「せやろ?
こんなんも、あるで。」
そう言ってまた変顔を撮り、送った。
「おーくら、ほんまにおもろいわ。」
そしてやすもまた、変顔を撮り送ってきた。
しばらくの間俺たちは変顔大会をしていた。
のに、突然電話がかかってきた。
「あ、消灯や。
寝なきゃあかんねん。」
「もう、寝るの?」
「そうやねん。
決まりだから、しゃーないねん。」
「そうなん?
で、寝れるの?」
「途中で目が覚めちゃうけど、」
「そうだよな。」
「おーくらに子守唄でも歌ってもらいたい
ぐらいだよ。」
「げっ。」
「へへっ、冗談だよ。
また明日、電話してもええ?」
「全然、大丈夫だよ。
仕事終わったらまたLINEするよ。」
「ありがとう、また待ってるね。
じゃあ、バイバイ。」
「バイバーイ。」
また明日もやすの声が聞ける嬉しさと、
直接会いに行けないもどかしさで、
俺の感情は無茶苦茶になっていた。
やすに・・・会いたい。
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作者名:niko | 作成日時:2020年12月21日 21時