授業中、何しよう。

水曜３限 ページ17

両手を大きくあげて万歳と叫びたい気分である。

嫌いな授業の中でも幾分かましな美術の時間がやってきたのだ。

一度は美術の道へ進もうと思っていた身ゆえ、断念してしまった今でもやはり、美術と聞くと惹かれるものがある。

しかしながら美術に至ってさえも、偏差値の低さは反映されると痛感した。

先日まで私達は百合の花をアクリル絵の具で描いていた。

アクリル絵の具とは大変便利な画材であり、使い方次第で水彩調にも油絵調にもなる。

私はどこか遠くの秘境に生息するたくましい百合、それも、枯れかかったものを描きたかった。

本当に美しいものは、年季が入って老衰してもどこか強くある。

強さそのものに惹かれる私にとって、かつて瑞々しく若かった百合が、まだ生きてやると花弁の先を茶色くしてもなお、しゃんと立っているさまは美しさそのものなのだ。

そんなずれ、すなわちギャップを表現するために背景を水彩画のように仕上げた。

水彩の方が青く切り立つ山々をより冷ややかに見せることができると考えたからだ。

花は油絵のように厚く塗り重ね、存在感をこれでもかと出した。

もちろん、１枚ぺらりと落ちかかっている花びらも忘れずに描き込んで。

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