８０話 ページ40
そこまで考えると、私は無性に笑えてきた。
なんで私は手の施しようもないことに対してこんなに悩んでいるのか。
人並みに明るい性格じゃないし、思いやりも、優しさも持ち合わせてない。
頑張って手を伸ばしても”ヒロトくん”のような人になれない。そんなの随分前から知ってる。
だから、私がやれることなんて一つしかないじゃないか。
「...あんたみたいな奴が、アレスの天秤？無理に決まってるでしょ。」
そう言って、目の前で困惑する彼女の肩を強く押した。
「え...？」
何が起きているのかわからないみたいで、素っ頓狂な声を出すがしばらく硬直したままだった。
彼女からしてみれば当然だろう。楽しく談笑してたら、突然相手が豹変したのだから。
「なに驚いてるの？…いもの分際で。」
「いも？」
「はぁ、…この程度の意味もわからないなんて...。
ねぇ、話してて思ったんだけど、あなたの頭って御花畑でできてるのね。
ふふっ、…いーい？
あんたみたいな甘ったれで考えなしの餓鬼はお呼びじゃないの。さっさと帰れ。
...事実を言われて泣くことしかできないなんて、本当素質ない。」
にこりと笑って言うと彼女はすでに泣きそうな顔をしていた。
ーとても簡単な話だ。
内(アレスの天秤)の非難ができないならば、アレスを非難せず、目の前の少女をいじめればいい。
施設にこんな人間がいることを知らしめれば、きっと自分から身を引いてくれるだろうから。
「...どうして、そんなことを言うの？」
「あなたをここに入れるわけにはいかないから。」
名前も知らない健気な少女をいじめるだなんて”ヒロトくん”になんて弁解すればいいんだろうと思いながらも、私は少女の肩をもう一度押して責め立てる。
「...あんたみたいな子、こっちから願い下げだわ。」
汚い言葉を浴びせられていてほんとに良かったとこの時だけ思った。おかげで人の傷つけ方がなんとなくわかる。
彼女はわなわなと震え、可愛らしいまん丸な目に涙を溜めて私を見つめていた。たまった涙が大粒になって頰に涙が溢れた時、黙ってどこかに走ってしまう。
女の子の姿が見えなくなったところで私はようやく壁に手をついて深呼吸をした。
心臓が痛くて辛い。
なけなしの良心がまだ私に残っていたのかと少し驚いた。
まあ、これを楽しいと思う人は相当相手を恨んでいるか、頭が歪んでいるのどちらかだろう。
「..ごめんなさい。」
何に対しての謝罪なのか、あまりに多くてわからなかった。
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沙稀乃(プロフ) - 橋本アリィちゃんさん» ありがとうございます！(*´∇｀*)私の頭がポンコツのため、なかなか進みませんが、よろしくお願いします！\( ˙▿˙ )/ (2021年11月5日 0時) (
レス) id: 5e2cd7ca09 (このIDを非表示/違反報告)
橋本アリィちゃん(プロフ) - とても面白かったです！続きを待ってます！(*´ω｀*) (2021年11月3日 20時) (レス) @page40 id: 1849d0f1e6 (このIDを非表示/違反報告)
沙稀乃(プロフ) - ピータンさん» コメ、ありがとうございます！！凄く面白いと言われて、もう既に心が有頂天になってるんでまともに返信ができませんが、本当に嬉しいです。ありがとうございます！更新のろのろですみません…！ (2020年8月21日 16時) (レス) id: 5e2cd7ca09 (このIDを非表示/違反報告)
ピータン(プロフ) - すごく面白いですね！これ野坂君がもっと大きくなったらどうなるんだろう？これからも楽しみにしてます！ (2020年8月21日 11時) (レス) id: d4faf78640 (このIDを非表示/違反報告)
沙稀乃(プロフ) - こさめさん» え！？本当ですか！！ありがとうございます！！コメント本当にありがとうございます！嬉しいです！ (2020年8月18日 17時) (レス) id: 5e2cd7ca09 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：沙稀乃 | 作成日時：2020年4月12日 12時
