６２話 ページ20
目と鼻の先まで近づいてくるものだから自然と彼が近付く分だけ後ろに体を反らした。
ついには押し倒されるところまでいくから、私は慌てて彼を止めようと彼の胸を押すがなかなか離れない。
「ちょっ、…離れ」
「僕から逃げるな。」
私の行動を不服に思ったのか鋭い目つきで私を睨みつけて彼は力を込めて私を押さえつけてきた。
よほど私をこのベッドに寝転がってもらいたいらしい。
「ごめんね。でも、Aちゃんが悪いんだよ。
友だちは助け合うんだよね。…僕達は友だちなのに、どうして僕を頼ってくれないの。」
「それは…」
なんで今、私は野坂に責められているのかトントン拍子で進みすぎて流れがよくわからないが、確かに私は友達を頼るのが下手くそだった。
…模範的な友達というものを彼の中に印象付けたい私は確かに良くない。
かといってそれをそのまま彼に言えない私は、適切な言葉が見当たらず、口を濁すしかなかった。
「…悪いって思うなら、約束しよ。
『辛いときは僕を頼る』って言おうね。」
…いや、小学生に子供に頼る高校生ってなんだよ。
私のプライドが嫌だ嫌だとか思うが、目の前の彼はそんな私の事情を知るはずもない。
「言わないとずっとこのままだから」
そう高らかに言うが、実際のところ彼の成長途中の腕力なら力ずくでもなんとかなりそうだ。
振り払うという選択肢もある。
でも__別の考えが私の考えを占めた。
こんなことまでして私に構うのも、なにもかもを一人で背負い込む私を思ってのことだろう。そうに違いない。
…大人ぶった口調も行動も、中身が大人な私に合わせているのは、私と知り合う前の彼を見れば明白だ。
だから、そんな彼にしてやれる私なりのやり方を…
そこまで考えて、思考回路は止まった。_否、気づいた。
ああ、だからなのかと、顔に手を当て呻る
不安そうに私を見る野坂に言った。
「…悠馬くん。私は貴方が誇れるような完璧な友達になれればそれが最善と思ってたみたい。
でも、悠馬くんはそんなの求めてないんでしょ？」
私はずっと無意識に理想の友になりきることを追い求めていたらしい。でも結局なりきれていなかった。
だから友達をより嫌う原因になっていたし、私は"ヒロトくん"しかろくに話す人がいなかったのだ。
…こんな当たり前のことに今気づくだなんて変な話だ。
「私、友だち失格だね。ごめんなさい。」
「うん、…次はもっと僕を頼ってね。…隠し事だってなしだからね。」
そう彼はうわ言を溢した。
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沙稀乃(プロフ) - 橋本アリィちゃんさん» ありがとうございます！(*´∇｀*)私の頭がポンコツのため、なかなか進みませんが、よろしくお願いします！\( ˙▿˙ )/ (2021年11月5日 0時) (
レス) id: 5e2cd7ca09 (このIDを非表示/違反報告)
橋本アリィちゃん(プロフ) - とても面白かったです！続きを待ってます！(*´ω｀*) (2021年11月3日 20時) (レス) @page40 id: 1849d0f1e6 (このIDを非表示/違反報告)
沙稀乃(プロフ) - ピータンさん» コメ、ありがとうございます！！凄く面白いと言われて、もう既に心が有頂天になってるんでまともに返信ができませんが、本当に嬉しいです。ありがとうございます！更新のろのろですみません…！ (2020年8月21日 16時) (レス) id: 5e2cd7ca09 (このIDを非表示/違反報告)
ピータン(プロフ) - すごく面白いですね！これ野坂君がもっと大きくなったらどうなるんだろう？これからも楽しみにしてます！ (2020年8月21日 11時) (レス) id: d4faf78640 (このIDを非表示/違反報告)
沙稀乃(プロフ) - こさめさん» え！？本当ですか！！ありがとうございます！！コメント本当にありがとうございます！嬉しいです！ (2020年8月18日 17時) (レス) id: 5e2cd7ca09 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：沙稀乃 | 作成日時：2020年4月12日 12時
