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前半戦終了後。
控室やトイレがある建物の中に入れば、休憩前の御影専農の選手とかち合った。
円堂は「杉森!」と御影専農のキャプテンを呼び止める。
「なんで攻撃しないんだよ!あれじゃサッカーにならないだろ!?」
「それが、監督命令だ」
「なんだって1?」
改めて円堂に向き合った杉森。
白石はふたりのやり取りを染岡の後ろで聞いていた。
「10点差でも１点差でも同じ勝利。リスクを冒さずタイムアップを待つ。」
「何もかも計算通りにいくと思っているのかよ!!」
「君たちのデータは全て把握していると言ったはずだ。白石以外俺からはゴールを奪えない、お前たちの負けだ」
「そんなの、分かるもんか!
勝利の女神は勝利を強く信じる方に微笑むんだ!!」
強く言い切った円堂だったが、杉森の考えも意見も何も変わらなかった。「データに無いことは、決して起こりえない」というサッカーサイボーグらしい言葉を投げかける。
どんなに話しても円堂や雷門のような思考は、彼等にはないらしい。
「そんなサッカーやってて楽しいのか!?」という円堂の発言に「楽、しい……?」と微妙に眉を寄せた杉森。
白石はそんな彼の様子を見て静かにため息をつくと、近くにいた風丸に『ごめん、先に戻ってる』と声をかけてから踵を返した。
ーーーー
円堂と杉森の通じ合わない話し合いが終わると同時。
豪炎寺は最後に白石と話していた風丸に声をかけた。
「……風丸。Aはどうしたんだ?」
「先戻るってさ。ていうか今日の白石、いつもと雰囲気違くないか？」
「ああ。普段はもっとこう、和やかっつーか…」
「おそらくAは、怒ってるんだ」
「怒る?御影専農のプレーにか?」
確かに自分たちも少なからず苛立ちはあったが、基本的に温厚な白石が起こるなんて。
豪炎寺は、変なところで不器用で優しすぎる白石の姿を思い浮かべて、小さく息を吸った。
「“害虫”。
……その言葉にだ」
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作者名：-naki-
x他1人 | 作成日時：2018年6月3日 13時
