【イナズマイレブン】怪傑の奇術師【男主】Ⅱ (ページ20)

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点を奪い取り自陣に戻ってきた白石を豪炎寺が手を挙げて迎えた。白石はそれを見て笑みをこぼすと、豪炎寺の手に応えるように強くハイタッチを返す。

「あんな技があるなんてな」

『研究されたくないから公式の大会で使いたくなかったんだけど、今日ばかりはそうも言ってられないしさ』

吹っ掛けられた煽りも喧嘩も、拳ではなくサッカーの実力を持って見返す。それが白石の考えであり、それを察した豪炎寺は「やっぱりお前は敵にしたくない」と最上級の誉め言葉を贈った。

ーーー

試合は雷門の一点リードのまま進んだ。
情報を多く得ている御影専農に、白石以外の打つ手なしかと思われていた試合だったが、豪炎寺のファイアトルネードや、染岡と豪炎寺のドラゴントルネード、イナズマ落とし、その全てが白石の目から見ると＿＿＿希望がない、という訳ではなかった。

『壁山くんナイス判断。いい走りだね』

「白石さん…!でも、得点には…」

戻ってきた壁山に白石が声をかけるが、得点にならなかったことをきにしているらしい壁山はちらりと得点版に目をやる。相手が攻めてくるまでの数秒の間、白石はそんな壁山に笑みを向けた。

『いいや＿＿＿得点以上に良いことをしてるよ』

「え?」

『彼等みたいに言うのであれば“いいデータが手に入った”、かな』

そう言って攻め込んでくる御影専農の選手を追いかけるように走り出した白石の背中を、彼の言葉をイマイチ理解できなかった壁山が首を傾げて追いかけた。