第１０６話 ページ32
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太一「えええ！？ちょ、万チャン本気ッスか！？」
今日はポートレイトの発表日。
劇場に行くために各々が支度をし始めた最中、寮内に一際大きい太一の声が鳴り響く。
『どうしたの、そんな大きな声出して』
太一「Aチャン！万チャンが！！」
『万里がなんだって？』
そろそろ出発なのに何かあったのかと思いつつ、急いで二人に近づく。
私の声に気が付いた太一は、首がもげるんじゃないかってぐらい勢いよく顔をこっちに向けて。
太一の言いたいことを問いかけるように万里の方へと視線を動かせば、気まずそうに視線を逸らした万里。
けど観念したのか、はぁっとため息をついたかと思えば、
万里「俺、ここ出てくわ」
そう言葉を溢した。
『...は？』
なんでいきなり。
万里の意図が読めず、眉間に皺を寄せて固まった私。
だって今日本番だよ？
ポートレイトやりたくないなら、やめるタイミングなんていつでもあったじゃん。
聞きたいことは山ほどあったけど、それよりも驚きの方が勝ってしまって。
私と同じように太一の声で集まった秋組の皆が、必死に万里を止めようとしている。
臣「何もそんな急にやめなくてもいいだろ。これから本番なのに」
十座「どういうつもりだ、摂津」
万里「どうもこうもねぇよ。芝居ではもう十分お前に勝ったし。これ以上意味ねぇから」
左京「...勝手にしろ。ただ、二度とこの寮の敷居をまたぐな」
私も何か、言わなきゃ。
...でも何を？
あそこまで万里を怒らせた私が、
万里の芝居に対する気持ちを理解している私が、万里に何を言えるっていうんだろう。
万里「じゃあな」
そう考えているうちに、万里は私の横をすっと通り過ぎていって。
『っ、ばん、』
―――"万里"。
待ってよ。
ちょっとぐらい、こっち振り返ってくれてもいいじゃん。
まだ私、万里と仲直りしてないんだけど。
心の中でなら、いくらでもそう言えるのに。
バタン、と閉まった扉の音が、私と万里の仲を残酷にも断ち切ってしまったような気がした。
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琥珀(プロフ) - えななんさん» 更新ができずお待たせしてしまってすみません...。こうして今でもコメントいただけると、とっても嬉しいです！寒くなってきましたので、お身体にはお気を付けくださいね。 (2022年10月6日 11時) (
レス) id: 3c7d372253 (このIDを非表示/違反報告)
えななん(プロフ) - だいぶお話も進んで、冬組に近づいてきていて嬉しいです！これからも楽しみにしてます！ (2022年10月3日 17時) (レス) @page41 id: 15071f4cc5 (このIDを非表示/違反報告)
琥珀(プロフ) - るるるーさん» ありがとうございます！これからも喜んでいただけるように更新を続けていこうと思っているので楽しみにお待ちいただけると幸いです！ (2022年8月8日 0時) (レス) id: 74473316dd (このIDを非表示/違反報告)
るるるー(プロフ) - この前作品を読み始めたばかりなのですが、あっという間に読んでしまいました！！ワードセンスや設定などとても好みです！無理しない程度に、更新頑張ってください。応援しています！ (2022年7月29日 18時) (レス) id: 4d458783a4 (このIDを非表示/違反報告)
琥珀(プロフ) - 瑠李さん» 本当ですか！？お読みいただきありがとうございます！更新頻度にばらつきがありますが、是非楽しみにしていただけると嬉しいです＾＾ (2022年7月14日 10時) (レス) id: 8c7c498829 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：琥珀
| 作成日時：2022年4月11日 23時
