第９９話 ページ25
〜臣side〜
それからずっと、俺はAのことが気がかりだった。
あの子は、那智が死んでしまったことを知っているのだろうか。
ちゃんとご飯を食べているんだろうか。
そんなもやもやを抱えたまま、何年も俺はなんとなくの日々を過ごしていた。
それから、那智の夢を知り、MANKAIカンパニーのカメラマンとして呼ばれ。
劇場の前で成長したAを見た瞬間、俺はきっと間抜けな顔をしていたに違いない。
桜庭A。
あの子は、そんな名前だったのか。
那智の代わりに役者になる。
きっとその場所は、ここしかないと思った。
那智が気にかけていたAがいる、この場所で。
『...臣は、全部あの人の代わりなんだね』
そんな時、Aの呟きが俺を現実へと引き戻し。
否定も肯定もしない俺に、ようやくその視線は俺を捉えた。
その瞬間、思わず俺ははっと息を呑む。
―――そこには、初めて見るAの表情があったから。
『最初は嫌だって思ったりもした。慣れてなかったし、』
「...A、」
『でも、いつからか私――』
"臣が優しくしてくれるの、嬉しかったんだよっ"。
泣いているんじゃないかと錯覚してしまうほど、瞳は揺れていて。
容器を持つ手は、プルプルと震えていて。
俺がAにそんな顔をさせていると思うと、胸が酷く痛んだ。
「っ、A、」
いてもたってもいられず、抱きしめようとすればそれを拒むA。
けれどAは離れることはなく、何度も何度も俺の胸板を拳で殴りつけた。
『じゃあ一生幸せにならなきゃいいよ』
『ずっとあの人の代わりとして生きればいいじゃんっ、』
震えた声で発せられるそんな言葉と共に。
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琥珀(プロフ) - えななんさん» 更新ができずお待たせしてしまってすみません...。こうして今でもコメントいただけると、とっても嬉しいです！寒くなってきましたので、お身体にはお気を付けくださいね。 (2022年10月6日 11時) (
レス) id: 3c7d372253 (このIDを非表示/違反報告)
えななん(プロフ) - だいぶお話も進んで、冬組に近づいてきていて嬉しいです！これからも楽しみにしてます！ (2022年10月3日 17時) (レス) @page41 id: 15071f4cc5 (このIDを非表示/違反報告)
琥珀(プロフ) - るるるーさん» ありがとうございます！これからも喜んでいただけるように更新を続けていこうと思っているので楽しみにお待ちいただけると幸いです！ (2022年8月8日 0時) (レス) id: 74473316dd (このIDを非表示/違反報告)
るるるー(プロフ) - この前作品を読み始めたばかりなのですが、あっという間に読んでしまいました！！ワードセンスや設定などとても好みです！無理しない程度に、更新頑張ってください。応援しています！ (2022年7月29日 18時) (レス) id: 4d458783a4 (このIDを非表示/違反報告)
琥珀(プロフ) - 瑠李さん» 本当ですか！？お読みいただきありがとうございます！更新頻度にばらつきがありますが、是非楽しみにしていただけると嬉しいです＾＾ (2022年7月14日 10時) (レス) id: 8c7c498829 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：琥珀
| 作成日時：2022年4月11日 23時
