第97話 ページ23
〜臣side〜
「A、お前――」
『覚えてる...というか思い出した。あの人いつも臣のこと話してたから』
俺のことを見ずに、淡々とそう告げるAにバクバクと脈打つ心臓。
ストリートACTで俺が"狂狼"だってことがバレたとき。
聞いたことがある単語で、Aは俺が那智の親友だってことに気が付いたらしい。
あの時だって、Aは至って普通の反応をしていたはずなのに。
まさか、Aが覚えているとは思わなくて。
理解が追いついていない俺を余所に、Aは何も喋らずに手だけを動かしている。
あいつは、
那智は、
―――Aを妹のように慕っていた。
* * *
那智「最近、ガキに餌付けしてんだよなー」
「...は?」
きっかけは、那智のそんな突拍子もない一言で。
俺には夢がある、だとか訳の分からないことばっかり言ってた奴だったが、この時ばかりは本当に意味が分からなくて。
思わず聞き返した俺に、ケタケタと笑いながら那智は事の詳細を俺に話した。
那智の家の近くのコンビニで、いつも小さい女の子が夕飯を買っていること。
両親はどうしているのか聞いても、いつもはぐらかされてしまうこと。
栄養の偏った食事をしていることを見かねた那智が、いつも肉まんを買ってあげてるということ。
那智「でもなかなかそいつが懐かなくってよ」
「そもそも、肉まんのチョイスもどうかと思うぞ」
那智「肉食わないと成長しねぇだろうが」
それにしたって、肉まんは喜ばないだろ。
そう言い返そうともしたが、やけにこいつが真剣な顔をしていたから思わずぷっと吹き出してしまって。
"俺が本気で悩んでるっていうのに"。
そんな俺に那智が不機嫌になるまでが、いつのも流れだった。
―――そんなある日、俺は初めてAに会ったんだ。
.
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琥珀(プロフ) - えななんさん» 更新ができずお待たせしてしまってすみません...。こうして今でもコメントいただけると、とっても嬉しいです!寒くなってきましたので、お身体にはお気を付けくださいね。 (2022年10月6日 11時) (レス) id: 3c7d372253 (このIDを非表示/違反報告)
えななん(プロフ) - だいぶお話も進んで、冬組に近づいてきていて嬉しいです!これからも楽しみにしてます! (2022年10月3日 17時) (レス) @page41 id: 15071f4cc5 (このIDを非表示/違反報告)
琥珀(プロフ) - るるるーさん» ありがとうございます!これからも喜んでいただけるように更新を続けていこうと思っているので楽しみにお待ちいただけると幸いです! (2022年8月8日 0時) (レス) id: 74473316dd (このIDを非表示/違反報告)
るるるー(プロフ) - この前作品を読み始めたばかりなのですが、あっという間に読んでしまいました!!ワードセンスや設定などとても好みです!無理しない程度に、更新頑張ってください。応援しています! (2022年7月29日 18時) (レス) id: 4d458783a4 (このIDを非表示/違反報告)
琥珀(プロフ) - 瑠李さん» 本当ですか!?お読みいただきありがとうございます!更新頻度にばらつきがありますが、是非楽しみにしていただけると嬉しいです^^ (2022年7月14日 10時) (レス) id: 8c7c498829 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:琥珀 | 作成日時:2022年4月11日 23時