【A3!/逆ハー】愛されることが嫌いな少女vs愛を教えたい劇団員その１０

第７６話 ページ2

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左京「いくらだ」




幸の"予算がかさむ"発言に反応したのか、そう尋ねた左京。

幸はそんな左京に一瞬訝しげな視線を送ったけど「全部で２０万ぐらいかな」と、答えた。



わ、やっぱり結構するな。

私ですらそう思うんだから、左京がそう思わないはずがなく...。




左京「却下。高すぎる」

幸「はた？このくらいならなんとかなんでしょ」

左京「布から作れ」

幸「布から作ったって、皮だったら同じくらいになるし。質感だって全然違うから」




そして突如始まった謎の衣装バトル。



幸の発言をばっさり切り捨てる左京は相変わらずなんだけど。





左京「妥協しろ」

幸「それはこっちのセリフだ、銭ゲバヤクザ。舞台のクオリティも妥協すんの？」

左京「そんなことは言ってない。お前なら合皮でもクオリティの高いものができるだろ」

幸「もっと高くしたいって言ってんの」




―――幸だって左京に負けてない。



それどころか、左京のことを"銭ゲバヤクザ"って。




ふふっ。

ダメだ、私の好きな幸が炸裂しちゃってる。




もっと見てたいなぁ、なんて思ったんだけど。

さすがにこれ以上ヒートアップしないように、といづみちゃんが間に入って。




いづみ「まあまあ、２人とも。もうちょっと予算下げてみるっていうのはどうかな」




そう声を掛ければ、少しの間流れた沈黙。

先にその沈黙を破ったのは、左京の方だった。





左京「...１０万におさめろ」

幸「１８万」

左京「１３万」

幸「１７万」




せっかく収まったと思ったのに、次に始まったのはそんな値切り論争。

間に入る隙すら与えない２人の周りには、緊張感が漂っていて。




左京「１５万」

幸「...乗った。値切ってくる」

左京「そうしろ。必要なら俺も出る」

幸「了解」




...とりあえず、衣装の件はなんとかなったみたい。




あれだけ談話室はうるさかったのに、いつの間にか２人の言い合いに皆集中しちゃってて。

食材値切る時にこの２人がいれば便利だなぁ、なんて呑気に私はそんなことを考えていた。





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