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第24話 ページ49

〜十座side〜





今まで、こうやって俺に距離を詰めてきたヤツなんていなかった。

しかも相手は女。

だから、こんな時どうかわせばいいのか分からねぇ。





その結果、手を掴むことしかできなかった俺に苛立ちが募る。





また、怖がらせた。




―――結局俺は何一つ変わってはいねぇんだな。





『んふふ』




心の中で自分を嘲笑うと同時に、目の前から聞こえてきた笑い声。





「...何がおかしい」

『おかしいって言うか、やっぱり怖いって思わないんだよなぁって』

「はぁ?」





相変わらず、こいつの言ってることはさっぱり分からねぇ。

やっぱりどこか頭でもイかれてんじゃねぇか?




そう思いながら訝し気な目を向け続ける俺に、こいつは視線を手首の方まで移動して。





『手、プルプル震えてる。力加減してくれてるんでしょ?』

「っ」




そんなことを言ってきた。




はっとして掴んでいる手を見ると、確かに俺はこいつを傷つけないように力を緩めようとしている。

でも結局、緩めようと"している"だけ。

その手を離せば、色白な手首は少し赤くなっていて。




...加減なんて、できてねえじゃねぇか。





「わりぃ、」



ぐっと顔を歪めて、謝る。





『んーん、平気』

「...これに懲りたらもう俺の側に、」




"近寄るんじゃねぇ"、そう言おうとした。

けれどそれよりも先に、再び頭の上にこいつの手が乗せられて。





「っ、だから触んなって、」

『やだ』

「っ」

『十座が"自分で"私の手を退かしなよ』





強い意思の籠った、真っ直ぐな目。

これが男だったら、容赦なく退かすことができる。

けど、さっきのことがちらついて、俺はこいつの手を掴むことができねぇ。

それを分かっているからこそ、こいつは俺にこんなに強く出てきてんだろう。




ちっ。



舌打ちを溢し、こいつの腕の方まで自分の手を動かす。





―――あと数センチ。





その距離を超えられない俺に、こいつはふっと表情を緩めた。







.

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琥珀(プロフ) - ヒロミさん» 全て読んでいただき本当にありがとうございます!面白いと言って頂けるとモチベーションにもなりますし、嬉しい限りです^^ストーリーは3部まで展開予定です!ただ、イベントストーリー含めた番外編も執筆予定なので、どのくらい先になるかは未定です...;; (2022年3月11日 21時) (レス) id: 38ce327301 (このIDを非表示/違反報告)
ヒロミ - 長くてすみません…3月に入り温度変化が激しい時期に入ったのでお体に気をつけて執筆活動して下さい! (2022年3月11日 8時) (レス) id: 2c46af0c41 (このIDを非表示/違反報告)
ヒロミ - すみません、感想が入り切れなかったので再度投稿しました。質問なのですが、アプリのA3はストーリーが最終章までアップされてますが、そこまでこの小説は展開していく予定なのでしょうか?私個人的には最終章まで携わってほしです最後まで小説を上げているの居ないので (2022年3月11日 8時) (レス) id: 2c46af0c41 (このIDを非表示/違反報告)
ヒロミ - 初めまして、この小説全て読んだのですがとっっっても面白いかったです!あっという間に全部読んでしまいました。夢主の感情の変化がちゃんとストーリーに沿って変化しているので矛盾が無いですし団員達が徐々に夢主に惹かれていくさまは読んでてとても面白いかったです (2022年3月11日 8時) (レス) id: 2c46af0c41 (このIDを非表示/違反報告)
琥珀(プロフ) - いおりさん» コメントありがとうございます!冬組推しにも関わらずここまで長々と読んでいただけて嬉しい限りです...!いよいよ秋組がスタートしましたので、のんびりとお待ちいただければ幸いです^^ (2022年2月25日 23時) (レス) id: 901c4aa1c4 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:琥珀 | 作成日時:2022年2月13日 20時

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