イナズマイレブン～FF編～第1巻 (ページ50)

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（４８）避けるページ50

聖悟「とにかく、円堂は帰れ。僕は水狂言と、これから行かなきゃならない所があるんだ」

円堂「え、おい。オレはお前のこと捜しにきたんだよ！練習中抜け出すから心配になって……」

聖悟「…………」

『俺はキミを心配してるんだよ？＿＿。』

聖悟「……いらねぇ。僕は、僕のすべきことをするだけだから」

円堂「……えっ？」

思い出してしまった『アイツ』の言葉が、どうしても円堂の言葉とと重なり合ってしまう。

忘れたいのに忘れられない。

今更気にしたってどうにもならないはずなのに、見えない何かで縛られているような感覚が、より一層聖悟の心を掻き立てた。

聖悟「……行くぞ、水狂言」

カヤ「ちょ、待てよソラ。ソラ！」

立ち尽くすしかなかった円堂は、２人の背中が路地裏の影で隠れるのを見ているしかなかった。

去ってしまったせいか、円堂は少しだけそこに取り残されているような孤独感を覚えた。

カヤ「ソラ、歩くの早いってば。ちょっとくらい待てよ」

聖悟「…………」

何も言わずに早足で歩く聖悟を、水狂言は絶えずに呼んだ。

カヤ「まさか、『アイツ』のこと思い出したとか？
……死んじまった奏人(カナト)のことを」

知った名を出され、ピタリと足を止める。

カヤ「何か雰囲気似てるもんな、円堂。性格とか、あの無邪気なところとか……痛っ！」

ベラベラと喋る水狂言の胸倉を掴んで、聖悟は壁にぶつけた。

聖悟「蛍火のことは口に出すな、いくらおまえでも減らず口消されたくなきゃ黙れ。潰すぞ」

言いたいことを最小限ぶつけた聖悟は胸倉を掴んだ右手を離して去ってしまった。

カヤ「否定はしないんだな、ソラのヤツ。……相変わらず優しいんだから」

水狂言はへらりと笑い、自分の左手の平をじっと見つめたのだった。