▼▼▼ ページ7
.
「ほら、これ飲めよ」
『私が買ってきたんだけどね』
「あ、どら焼きあんじゃん」
『食べていーよ』
「まじ？やった」
ひとしきり泣いた私はお墓の前の石段に座ってマイキーが渡してくれたサイダーを喉に流し込む。
この季節にサイダー。
手も冷えるし、泣いたからほんの少し痛い喉にはあんまり良くない気がするけど、それでも私は飲むことを止めなかった。
こんな風に誰かに泣き顔を見られることがなかったから恥ずかしいのもあったし、かーっと喉を通る炭酸の刺激が今の私には何だか心地よくて。
おー、言い飲みっぷり。
隣からそんな言葉が聞こえてきたけれど、私はそれを無視して飲みかけのサイダーを近くに置く。
外の気温のせいで買った時と変わらない冷たさのサイダーを飲んだからか、少し寒くなった私は身体をぶるっと震わせる。
そんな私を見て、マイキーはまたははっと笑みを溢した。
「これ全部場地に？」
『そ、圭介の好きなものとか、私知らなかったし』
「それなのにこんなに買ってくるとか、オマエいいヤツだな」
ニコニコと満面の笑みを浮かべてくるマイキーから、私はすっと視線を逸らす。
そんな顔で見ないでよ。
マイキーが思ってるような人間じゃない。だからそんなこと言われても困る。
「でも意外だったかも。こんなとこでAに会うとか」
『...まあそうだね』
そりゃそうだ。
今となっては圭介との関わりなんてゼロに等しかったわけだし。
乾いた笑いで返事をした私を見て、マイキーは何を思ったんだろうか。
石段に座る私の前に立ったかと思えば、しゃがんで私の目をじっと見つめてくる。
本日二度目のそれは、一度目とは違って、不機嫌な顔ではあるもののそこに怒りの色は見えない。
「オマエ、何か変だよ」
『え、？』
「昔はもっとカワイかった」
ゴツン。
その瞬間、重々しい音が私の耳に届く。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 151人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「東京リベンジャーズ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
琥珀(プロフ) - 白河青蓮さん» ありがとうございます＾＾書き溜めていたものが少ないので１話ずつの投稿になると思いますが、是非とも宜しくお願いします！ (2022年6月10日 22時) (
レス) id: bb1cc81145 (このIDを非表示/違反報告)
白河青蓮(プロフ) - 感情移入できるタイプに夢主ちゃんだ…。最高です！続き楽しみに待ってます。(無理はなさらないでください(^^) (2022年6月10日 18時) (レス) id: 7a285a1a8f (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：琥珀
| 作成日時：2022年6月10日 2時
