第１４５話 ページ48
〜晴翔side〜
「っ、」
『あれ、身体強張ってますよ？』
...どうしてこうなった。
俺はただ握手をしただけだっていうのに。
なぜかぐっと縮まっている距離に、この女がじっと見つめるせいで身体が思うように動かない。
それよりもドクドクと心臓が強く音を立てていて。
これをこいつに聞かれたくない。
そんな考えだけが俺の頭を支配する。
『まさかこんなに有名な人が女性に免疫がないなんてこと、ありませんよね？』
「はっ、そんなことあるわけ、」
落ち着け。
俺はGOD座の看板役者だぞ？
こんな女に動揺するような俺じゃ―――。
必死に自分にそう言い聞かせていると、不意にビクッと揺れた身体。
頭で理解するよりも先に反応した身体に頭が真っ白になって。
隣に立っている丞や後ろの大根役者たちはそんな俺に不思議そうな顔を向けている。
「お、お前、いいかげんに」
『手を離してくれないのは晴翔さんの方ですよ？』
「そ、そっちじゃなくて」
握手をしている反対の手でいやらしく俺のお腹辺りを撫でるこいつに睨みをいれる。
けれどそんな睨みも効いていないのか、その手は徐々に下の方に進んでいき。
こ、こいつ、どこまで触る気だよっ。
この時の俺はすっかりこいつの手の動きに意識を持ってかれていて。
だからかこの女が俺の方まで顔を近づけていたなんて全く気が付かなかった。
『晴翔のえっち』
耳元で囁かれたのはそんな今までに聞いたことのない甘い声。
それと同時にふーっと耳に息が吹きかけられて。
その瞬間、感じたことのない感覚が身体を駆け巡りぼっと顔に熱が集まっていく。
「なっ、」
丞「晴翔？どうしたんだ？」
『あはは、顔真っ赤だ』
綴「...穏便にやり返したんだろうけど、複雑だな」
『綴もやったげようか？』
綴「断固拒否で」
『えー』
そんな会話が聞こえてきたような気がしたけど、今の俺には何も考えられなくて。
何なんだよ、あの女。
結局あいつらから逃げるように立ち去った後も、しばらく顔の熱は収まりを見せることはなかった。
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琥珀(プロフ) - あおいさん» コメントありがとうございます！まだまだ春組ですが、気長に待っていただけると嬉しいです！ (2021年5月4日 23時) (
レス) id: 2e5c416c18 (このIDを非表示/違反報告)
あおい - 100話目おめでとうございます！いつも更新を楽しみにしてます。これからも応援してます！ (2021年5月4日 20時) (レス) id: bf03d702ef (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：琥珀
| 作成日時：2021年5月4日 14時
