第１４３話 ページ46
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いづみ「MANKAIカンパニーの公演『ロミオとジュリアス』よろしくお願いしまーす！」
咲也「よろしくお願いしまーす」
伊助さんからチケットのことを何も聞いてなかった私たち。
思い出したように伊助さんに聞いてみると、どうやらあまり売れてないみたいで。
そこで今日は、シトロンといづみちゃん、学生組の私たちで公演のビラを配ることになった。
でもこの辺は劇団だらけだからね。
ただビラを配るだけではやっぱり受け取ってはもらえない。
どうしよう、と頭を悩ませていると、不意に真澄が道の真ん中に立つ。
真澄「『ロミオ、どうしてお前がロミオ＝モンタギューなんだ』」
驚いている咲也に向かってそう言い放つ真澄。
そのおかげか、通行人たちは興味深そうに足を止めて。
そっか。
ストリートACTで注目を集めれば。
咲也「『一緒に旅に出よう、ジュリアス。こんな窮屈な町は飛び出して、世界中を巡るんだ！』」
綴「『ロミオ、失恋したんだって？気にするな、女なんて世界にごまんといるさ』」
真澄の意図を汲んだのか、それに呼応するように咲也と綴も後に続く。
その効果もあってか、次々と減っていくビラ。
最初の頃よりも、上手くなってる。
それに少しだけ微笑みながら私はビラを配り続けるんだけど、
「...レベル低」
「やめろ、晴翔」
「ほんとのことだし」
私からビラを受け取った二人がそんな会話をし始めて。
あからさまに私たちに聞こえるように言ったその声に、思わず眉間に皺が寄ってしまう。
仮に思ってたとしても、ここで言うことはなくない？
綴「...何だよ」
晴翔「あれ、聞こえちゃった？」
綴「文句あるならはっきり言え」
晴翔「レベルが低いと思っただけだよ、図星だった？」
綴「お前な、どこの誰だかしらねえけど――」
そう言って怒りを露わにした綴は一歩前に踏み出す。
基本的に優しいけど、意外と怒りっぽいとこあるからなあ。
そんな綴に苦笑いを浮かべながら、私は綴の服を軽く引っ張った。
『綴、だめ』
綴「っ...わり」
いづみ「うちの団員が失礼しました」
丞「こっちこそ悪かった」
どうやら隣にいた男の人は良識があるみたいで。
いづみちゃんの謝罪に申し訳なさそうにしながら同じように頭を下げる。
―――これで場は収まった。
誰もがそう思った時、はっと馬鹿にしたような笑い声が耳に届いた。
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琥珀(プロフ) - あおいさん» コメントありがとうございます！まだまだ春組ですが、気長に待っていただけると嬉しいです！ (2021年5月4日 23時) (
レス) id: 2e5c416c18 (このIDを非表示/違反報告)
あおい - 100話目おめでとうございます！いつも更新を楽しみにしてます。これからも応援してます！ (2021年5月4日 20時) (レス) id: bf03d702ef (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：琥珀
| 作成日時：2021年5月4日 14時
