第１３８話 ページ41
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―――殺陣を演出から外します。
その言葉がいづみちゃんの口から出た瞬間、咲也の肩がびくっと反応する。
訳が分からないとでも言いたげな真澄を余所に、綴、シトロン、至に私は賛成の色を示していて。
でも当の本人たちだけが納得のいかない顔を浮かべている。
真澄「アンタ、俺の殺陣褒めてたのに」
いづみ「二人にはまたどこかでやってもらうよ」
そう言って真澄を諭すいづみちゃん。
それでも真澄は殺陣を外すことが嫌なのか、咲也を一瞥して再び口を開く。
真澄「ロミオ役を誰かと交換すればいい。そうすれば殺陣もマシになるだろ」
真澄がそう言った瞬間。
咲也の様子がガラリと一変した。
咲也「嫌だ！絶対に嫌だ！！ロミオ役はオレの役だ！」
真澄に対して威嚇するようにそう言い放った咲也。
必死に、泣いているんじゃないかと思う程その顔は歪められていて。
こんなに取り乱した咲也は一度だって見たことがなかった。
その姿はまるで小さな子どもみたいだ。
『っ、咲也、』
綴「おい、落ち着けよ、咲也」
様子のおかしい咲也が心配になってぎゅっと服の裾を掴む。
私と綴の声ではっとした咲也は、顔を下げてしまい。
咲也「あ、す、すみません。でも、ロミオ役を交代するなんて絶対に嫌です」
そう言葉を落とす。
役が発表された時は背景でもいいって言ってたのに。
咲也にとって、自分の役をやり遂げることがそこまで大事になってるなんて気が付かなかった。
いづみ「そんなことしないよ」
綴「お前の当て書きだって言っただろ」
そんな風にいづみちゃんと綴が優しく声をかけていたけど、私は何も言うことができなくて。
少しだけ、
ほんの少しだけ。
咲也の力になれない自分に"悔しい"と感じてしまった。
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琥珀(プロフ) - あおいさん» コメントありがとうございます！まだまだ春組ですが、気長に待っていただけると嬉しいです！ (2021年5月4日 23時) (
レス) id: 2e5c416c18 (このIDを非表示/違反報告)
あおい - 100話目おめでとうございます！いつも更新を楽しみにしてます。これからも応援してます！ (2021年5月4日 20時) (レス) id: bf03d702ef (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：琥珀
| 作成日時：2021年5月4日 14時
