第129話 ページ32
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綴「よし、至さん部屋から出てきたぞ」
咲也「じゃあ予定通り真澄くんから!」
真澄「...はぁ」
次の日の朝、私たちは寮の隅に隠れて至が玄関に来るのを待っている。
付き合うとは言ったけど、エチュードなんて聞いてないよ?
本当にやりたくないんだけど。
そんな風に心の中で駄々を捏ねていると、不意にシトロンが私の肩をトントンと叩いてきて。
シトロン「A、ココで頑張ったら商店街のオツマミ食べに行くネ。イイ店知ってるヨ!」
『ほんとに!?』
シトロン「ワタシ、ウソつかないネ」
『...その話、乗った』
私は瞳を輝かせながらシトロンの手を取る。
ごめん至。
こればっかりは私の楽しみがかかってるからね、仕方ない。
そうと決まればここは私も一肌脱がないと。
『ふふふ』
綴「...怖いから急に笑いだすのやめてくれ」
にやにやと顔をにやつかせている私に綴の引き気味な視線が刺さるけどそんなの気にならなくて。
そしてようやく玄関に姿を現した至を見れば、真澄はそのまま飛び出していく。
〜綴side〜
真澄「『待ってよ、お父さん!』」
至「...は?」
真澄「『お母さんと離婚するなんてウソだろ?』」
至「なんの真似だよ、真澄」
そう言って飛び出してきた真澄を見て、間抜けな顔を向けている至さん。
そんな至さんを見て必死に笑いを堪えながら俺も真澄の後に続く。
「『お母さん、泣いてたぜ?親父だって、本当は信じてるんだろ?』」
咲也「『待ってて。オレ、お母さんを呼んでくるから!』」
至「綴と咲也まで...」
さすがにこの状況に何かを察したのか、至さんは黙って俺らの事を見ていて。
あとはシトロンとAなんだけど...これは賭けだ。
これが至さんに響くのかどうか。
少なくとも、自信は無い。
咲也「『お母さん、お父さんが行っちゃうよ!ほら、引き留めないと!』」
至「え、まさか監督が母親役...?」
―――至さん、ごめんっす。
どこか少し期待の眼差しを向け始めた至さんに心の中でそう謝る。
そりゃあそうだ。
だってその言葉で姿を現すのは、
シトロン「『ぐすんぐすん...ワタシも、スロット回すネ。ケーバで3連単当てるよ...』」
顔に厚化粧を施して女装をしてるシトロンさんだから。
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琥珀(プロフ) - あおいさん» コメントありがとうございます!まだまだ春組ですが、気長に待っていただけると嬉しいです! (2021年5月4日 23時) (レス) id: 2e5c416c18 (このIDを非表示/違反報告)
あおい - 100話目おめでとうございます!いつも更新を楽しみにしてます。これからも応援してます! (2021年5月4日 20時) (レス) id: bf03d702ef (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:琥珀 | 作成日時:2021年5月4日 14時