第123話 ページ26
.
午前中の稽古も終わり、夜の稽古まで時間がある。
特にすることもなくなった私は自分の部屋で適当に雑誌を読んだりして時間を潰していた。
シトロン「A、チョットいいネ?」
するとコンコンとノックされるドア。
シトロンが私の部屋に来るなんて、珍しい。
『うんいいよ、入って入って』
確かシトロンはいづみちゃんと買い物に行ってたはず。
そんなことを思いながら私はシトロンを部屋の中に入れる。
シトロン「...」
私に促されて部屋の中に入ったシトロンは、いつになく静かで。
いつもはうるさいくらいに元気なのに、表情はどこか浮かない。
何かあったのかな、
『なんか話がある、とか?』
シトロン「...」
私がそう聞けば、小さくコクリと頷いたシトロン。
告白...って感じではなさそうだし、シトロンには綴が倒れてた時の件もあるからなあ。
『...じゃあちょっと待ってて、飲み物とか持ってくる』
シトロン「...ありがとうダヨ」
『私が喉乾いただけだから』
元気のない顔でお礼を言ったシトロンにふっと笑みを溢す。
まあ話を聞くだけなら、安いもんだ。
それにシトロンにはいつも笑わせてもらってるしね。
そう思いながら、私は急ぎ足でキッチンに向かった。
* * *
『...ごめん、これしかなかった』
シトロン「オー、おさわりが沢山ネ!」
『ふっ、"おつまみ"ね。それだとちょっとやらしい感じになってるから』
机の上にばっと広げられたおつまみたちに目を輝かせるシトロン。
最悪だ。
もっと甘いお菓子とか用意してあげられたらよかったのに。
私ならそれでもいいけど、元気ない人におつまみしか出せない私って。
少し落ち込みながらも、シトロンが興味津々で見てくれてるからまあいいっか。
『それで、話って何か聞いてもいい?』
そう言って話を本題に戻すとシトロンの顔が少しだけ強張りを見せる。
...ほんとに珍しいな、シトロンがこんな風になるなんて。
シトロン「...カントクにも話したケド、Aにもちゃんと話すネ」
じっと私の目を見つめたシトロンは、今までとはどこか別人のような気がした。
.
401人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「愛され」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
琥珀(プロフ) - あおいさん» コメントありがとうございます!まだまだ春組ですが、気長に待っていただけると嬉しいです! (2021年5月4日 23時) (レス) id: 2e5c416c18 (このIDを非表示/違反報告)
あおい - 100話目おめでとうございます!いつも更新を楽しみにしてます。これからも応援してます! (2021年5月4日 20時) (レス) id: bf03d702ef (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:琥珀 | 作成日時:2021年5月4日 14時