第１２０話 ページ23
.
それからの稽古は、前と比べてかなり変わった。
多分、舞台の上で寝るという咲也の案が良い方向に運んだんだろうな。
それまではミスをしても大丈夫、の一言で済ますことが多かったけど、
今は何でダメだったのか、どうすればいいのかを話し合うようになった。
そんな変化はいづみちゃんにも表れていて。
いづみちゃんが用意した練習メニューには、一人一人の弱点とかが書かれている。
そんな中、劇団に新たな風が。
「失礼しまーす」
この日もいつも通りに休日稽古を始めていると、ふと声が聞こえてきて。
声の方向に首を動かすと、伊助さんの他に可愛い女の子とガタイのいい男性が立っていた。
...誰だ。
急なことに驚いている私たちを余所に、伊助さんはコホンと一つ咳をする。
伊助「ご紹介します！新しく衣装係として応募してきてくれた瑠璃川幸くんです！」
幸「どーもー」
そう言って軽い笑みを浮かべたこの子に、いづみちゃんは不思議そうな顔を向けていて。
いづみ「...女の子？」
幸「は？」
いづみ「あ、ご、ごめん。違うんだ？」
どうやら女の子ではないらしい。
確かに伊助さんは幸"くん"って言ってた。
え、うそうそ。
こんな可愛い子が男だなんて認めたくないんだけど。
シトロン「オー、これがジャパニーズ男の娘ネ！」
綴「本当、余計なことばっかり知ってんすね、シトロンさん」
『...負けた、』
綴「お前は何落ち込んでんだよ」
はぁっと溜息をついた私にそんな綴の呆れ声が返ってくるけど、今はそれどころじゃない。
髪綺麗だし、華奢な体に毛穴がないんじゃないかと思う程きめ細やかな肌。
うわぁかわいい。
...ほんとに悲しくなってきた。
そんな私を余所に、この子の自己紹介とか質問がどんどん進んでいく。
瑠璃川幸、中学３年生の男の子。
普段は自分で作った服をネットで販売してるらしい。
口が悪いから綴が真澄２号だーって言ってたのはなんとなく聞こえてきた。
幸「公演まで時間がないって聞いたから、ざっと役者を確認しときたくて」
主役は誰？と続けたこの子に反応して、咲也が皆より一歩前に出る。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 401人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「愛され」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
琥珀(プロフ) - あおいさん» コメントありがとうございます！まだまだ春組ですが、気長に待っていただけると嬉しいです！ (2021年5月4日 23時) (
レス) id: 2e5c416c18 (このIDを非表示/違反報告)
あおい - 100話目おめでとうございます！いつも更新を楽しみにしてます。これからも応援してます！ (2021年5月4日 20時) (レス) id: bf03d702ef (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：琥珀
| 作成日時：2021年5月4日 14時
