第119話 ページ22
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万里「ねみ」
至との電話も終わり、お風呂を借りてしばらくすると隣でふぁと万里が欠伸を溢す。
時計を見ると大分もういい時間で。
『寝る?』
万里「お前は?」
『んー咲也と登校する約束したし、寝ようかな』
万里「...お前のその体力まじで尊敬するわ」
そう言いながらベッドに横になり、万里は「ん」と布団を浮かせる。
そこに入り込むと、相変わらずふわっと万里のいい匂いが全身を包み込んだ。
誰かと同じベッドで睡眠取るの、久々だなぁ。
『...もしかして私、今めっちゃ贅沢?』
万里「ふはっ、今更かよ。俺と寝れるとか光栄じゃん?」
『まあ私は誰とでも寝るしね』
万里「色んな意味で?」
『そそ、色んな意味で』
片腕に頭を置いて私の髪をいじる万里を見ながら、クスクスと笑みを溢す。
ハスキーな万里の笑い声を聞きながら、私はゆっくりと目を閉じた。
万里「なあ」
もう少しで寝れそう。
そんな私を邪魔するかのように、万里は話しかけてくる。
『んー』
万里「どーせ、なんかあったんだろ」
『...』
万里「じゃなきゃ、俺から電話かかってきたぐらいでそんなに喜んだりしねぇしな」
なんとなく、万里がどんな顔してるか気になって。
閉じていた瞼を上げてみると、いつも通りの顔が向けられている。
それに少しだけほっとしながら、私は万里の首筋に顔を埋めた。
『...なんもない、けど』
万里「けど?」
『...ちょっと疲れた』
万里「はっ、それでなんもーねのかよ」
『うるさい』
言葉に反して、万里は何も聞いてこない。
ただ私の頭を優しく撫でるだけ。
だから私も今度こそ本気で眠くなってきちゃって。
『ばんり、おやすみ』
万里「ん、おやすみ」
朦朧とする意識の中でかろうじてそう言えば、私はそのまま意識を手放した。
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琥珀(プロフ) - あおいさん» コメントありがとうございます!まだまだ春組ですが、気長に待っていただけると嬉しいです! (2021年5月4日 23時) (レス) id: 2e5c416c18 (このIDを非表示/違反報告)
あおい - 100話目おめでとうございます!いつも更新を楽しみにしてます。これからも応援してます! (2021年5月4日 20時) (レス) id: bf03d702ef (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:琥珀 | 作成日時:2021年5月4日 14時