第113話 ページ16
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綴「...A、」
『あれ、皆布団もってどうしたの』
部屋を出ると、そこには春組の皆が勢ぞろいしてて。
なんでか脇には枕と布団が抱えられている。
咲也「少しでも舞台のことを分かりたくて、舞台で寝てみようかと...」
『ふはっ、何それ』
咲也じゃなきゃ絶対に思いつかないだろうその案に、思わず笑みを溢す私。
咲也ってたまにぶっ飛んでる考え方するから、そういうとこ面白いんだよね。
至「Aは?」
そんな事を考えていると、至がそんなことを聞いてきて。
首を傾げてそう聞いてきた至に何だか違和感を感じながらも、私はにこりと笑みを浮かべた。
『私はちょっと出掛けてくる』
綴「今から?...危ないだろ」
『へーきへーき、すぐそこまで迎えきてるし』
綴「っ、」
心配しなくていいよー、と続けた私に綴はもう何も言ってこなくて。
まあ実際綴が私を心配して言ってるのかは分かんないんだけどね。
『ごめん、待たせると機嫌悪くなるからもう行くね』
万里が機嫌悪くなると買い物付き合わされるからやなんだよねえ。
いや自分の買い物だったらいいけど、あいつ私に荷物持ちさせるんだから。
この間なんてさあ、
咲也「っ、Aちゃん」
意識が他の方に飛んでいった私を呼び戻したのは咲也の声。
私は『ん?』と首を傾げて言葉の続きを待ってみる。
咲也「あの...急用じゃなかったらなんだけど」
『ん、どした』
咲也「Aちゃんも舞台の上で一緒に寝れないかな、って思って...」
徐々に語尾が小さくなっていく咲也。
でも私を見るその目からは、何が言いたいのかひしひしと伝わってきて。
"行かないで"。
だめ。
だめだよ、咲也。
―――咲也は"そっち"に行っちゃだめ。
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琥珀(プロフ) - あおいさん» コメントありがとうございます!まだまだ春組ですが、気長に待っていただけると嬉しいです! (2021年5月4日 23時) (レス) id: 2e5c416c18 (このIDを非表示/違反報告)
あおい - 100話目おめでとうございます!いつも更新を楽しみにしてます。これからも応援してます! (2021年5月4日 20時) (レス) id: bf03d702ef (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:琥珀 | 作成日時:2021年5月4日 14時