第１１０話 ページ13
〜雄三side〜
ガキを相手するみたいに頭を撫でてやれば、さっきまでの警戒が少しとれた嬢ちゃん。
「じゃあ引き続き頑張れよ」
『それは私じゃなくて皆に言ってくださいよ』
「ははっ、そりゃそーだ」
さっきよりも嘘っぽくなくなった笑顔を見て、どこかほっとした自分がいるのを感じる。
...芝居には、観察眼も必要だ。
こんだけ長い事芝居に携われば、仕草や顔つきなんかを見ただけで相手のことは大体分かる。
幸夫さんの娘。
あれはいい顔してたな。
団員の演技に関しては目も当てられねぇくらいだが、監督としての"覚悟"は備わってる。
きっとあいつに任せれば、春組は今以上に化けてくれるだろう。
問題はあの嬢ちゃんだ。
あの子はなんちゅー目をしてやがる。
"Aちゃんは陰でこのMANKAIカンパニーを支えてくれているいい子なんですよ！"
確か、松川はそんなことを言っていた。
だが実際会ってみればどうだ、そのイメージはことごとく崩れていく。
人に対して何も期待していないような瞳。
あの歳であんな目をする奴はこれまで見たことがねえ。
劇団員と会話をしてれば、至って普通の女子高生。
けど俺に見せたはっきりとした"拒絶"は、ヤクザ顔負けもんだな。
きっと松川や幸夫さんの娘に見せる顔もまた違った顔をしてるはずだ。
どれも全部嬢ちゃんで、嬢ちゃんではない。
はっ、惜しいなあ。
嬢ちゃんが男だったらこの劇団の即戦力にはなるだろうに。
―――でもそれは"今のMANKAIカンパニーなら"の話だ。
きっと春組は今よりもっと演技に向き合う。
それはあのティボルト役も同様。
...あいつは演劇に対する気持ちに自分でセーブをかけている節があるからなぁ。
まあそうなった時、きっと嬢ちゃんは春組の奴らと演劇に対する想いの差で思い悩むことになるだろう。
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琥珀(プロフ) - あおいさん» コメントありがとうございます！まだまだ春組ですが、気長に待っていただけると嬉しいです！ (2021年5月4日 23時) (
レス) id: 2e5c416c18 (このIDを非表示/違反報告)
あおい - 100話目おめでとうございます！いつも更新を楽しみにしてます。これからも応援してます！ (2021年5月4日 20時) (レス) id: bf03d702ef (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：琥珀
| 作成日時：2021年5月4日 14時
