第99話 ページ2
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家を出た時、外はもうすっかり暗くなっていて。
その日は雨が強く降ってたから、余計にその時のことを思い出すのは簡単だ。
『自分の家も、他の男の人の家に行くのも気乗りしなくて』
ただ雨の中をびしょ濡れになりながら歩いてたんだよね。
そう続けた時、一瞬だけ至の顔が歪められたような気がしたんだけど。
確かめようとじっと見ても、その顔はさっきと同じだった。
『そんとき丁度、コンビニ帰りの咲也にばったり会ったの』
あの時の咲也の慌てっぷりといったら。
今でもあの顔を思い出すと、ふっと笑みが零れてしまう。
―――"Aちゃん!?どうしたの!?"
―――"と、とりあえず寮に行こう!"
もう私はびしょ濡れだから意味無いのに。
咲也は自分が濡れるのをお構いなしに私に傘をさしてくれて。
結局二人してずぶ濡れになったもんだから、寮に入った私たちを見て伊助さんはびっくりしながらも急いでタオルを持ってきてくれた。
『それから行く宛がなかった私に、咲也と伊助さんが劇団に入ることを勧めてくれたって訳』
至「ふーん」
『聞いといて興味なさそうだね至くん』
何かしらの質問やらは聞かれそうな気がしたけど、意外にも至は何も聞いてこなくて。
それどころか、むしろ興味なさそうな返事だけが返ってくる。
ふーんって。
いやあんまり干渉されたくないけど、それにしても冷たいじゃん。
至「んじゃ、俺ゲームの続きするわ」
『いやほんと何しに来たの』
至「素材集めよろ〜」
そう言って至は再び自分の椅子へと戻って行く。
全く、何だったんだ。
もしかして、女子高生の生足を堪能したかったとか?
いやいや至に限ってそんなことは。
『...ま、なんでもいっか』
そんな独り言とともに、私は中断していたゲームを再開した。
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琥珀(プロフ) - あおいさん» コメントありがとうございます!まだまだ春組ですが、気長に待っていただけると嬉しいです! (2021年5月4日 23時) (レス) id: 2e5c416c18 (このIDを非表示/違反報告)
あおい - 100話目おめでとうございます!いつも更新を楽しみにしてます。これからも応援してます! (2021年5月4日 20時) (レス) id: bf03d702ef (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:琥珀 | 作成日時:2021年5月4日 14時