イナイレ短編物語〜私だけの皇子様〜

■お嬢様の愛の行方■　コーマＤＥ同い年♪ ページ44

あたしは頬杖を突きながら、人差し指でテーブルととんとんと叩く。


あ「早くしてよね！」

コ「わかってるって、Aお嬢様」


お嬢様、という響きに、また苛々させられる。

気遣っているのは分かっているけれど、今はそんな冗談、聞きたくない。


あ「むかつく」

コ「Aは本当にわがままだなぁ。 それでも、俺はいいけどね」

あ「そんなこと言ってる暇があったら、早くしなさいよね。」

コ「はいはい」


あたしはいま、コーマに昼ごはんを作って貰っているのだった。

コーマはあたしの幼馴染でもあり、彼氏でもある。

あたしは友達に「わがままだ」と良く言われる。

だから、彼氏なんてできないと、できなくてもいいと、ずっと思っていた。

それなのに、こいつは。


あ「ねぇ、コーマ」

コ「んー、何？」

あ「どうしてあたしのこと、好きだなんて言ったの？」

コ「……ご飯、できたよ」


コーマは元から細い目をさらに細くして、笑った。

あたしの前に、お皿が置かれる。

卵が輝き、とろけそうなオムライス。


あ「質問、聞いてた？」

コ「どうしてかなぁ」


あたしはコーマの言葉の続きを聞こうと、口を閉ざす。

けれど、オムライスの誘惑に負け、そっとスプーンを口に運んだ。


コ「Aのこと、ほっとけないから、かな」

あ「うざい」

コ「嘘だよ。 ま、それもあるかもしれないけど」

あ「死ね」

コ「Aのそういうとこ、好きだよ」

あ「黙れ」


あたしは、言葉少なに言った。

自分がこういう扱いに弱いと、分かっているから。

好きだなんて、言われた事も無い。

親にだって、愛されていると感じたことは無かった。

だから…こんな、好きなんて、言われることは無いと思っていたのに。

こいつが、言うから。


コ「A、愛してる」

あ「……馬鹿」

コ「素直になりなよ」

あ「……馬鹿っ」

コ「馬鹿なのは、Aだよ。 愛して欲しいなら、言えばいいのに」

あ「……っ」


そんなの、そんなこと……

言われたら、返す言葉はひとつだけ。


あ「……コーマ」

コ「何？」

あ「……あたしを、愛して」

コ「――言われなくても、愛しますよ。 Aお嬢様」


そう言って、微笑むから。

だからあたしは、初めて人を抱きしめ、人に抱きしめられるのだった。


■ＥＮＤ■

□頬に触れた□　アークＤＥ同い年♪→←□海から聞こえる□　綱海ＤＥ後輩♪

• 金　運: ★☆☆☆☆
• 恋愛運: ★★★☆☆
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