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それが愛 ページ23

「んん〜」

「あらあら、おねむですか?」

「今日は沢山お手伝いしてたもんなぁ。えらいえらい!」

お酒のせいもあるのか珍しくテンション高めな長谷部さんが娘の頭を撫でた。

眠たそうにしているもののそれに嬉しそうに受け応える姿がなんとも愛らしい。

このこを生んでまだひと月程だけれど、刀剣の成長は相変わらず早い。

出産までにそう時間がかからなかった事を考えれば珍しくもないのだけれど。

「Aも疲れているようだし、一緒に眠ってきたらどうだい?」

「そうですね。後は片付けて置きますから行ってください」

せっかくなので二郎さんと太郎さんのお言葉に甘えて今日は早めに寝ることにした。

お礼を言うとわたしは娘を抱いたまま居間を出た。

「かか様」

「なあに?」

「わたし、夢を見たの」

「夢?」

「私が黒い渦にのみ込まれそうになるのを、かか様が手を引いて救ってくれたの」

その言葉に息が詰まった。

月夜に照らされた赤い大きな瞳がとろんと眠たそうに揺れる。

「かか様、とと様、大好き。みんなで幸せになるの…」

そう言うと愛しい我が子はまぶたを閉じた。









布団に入ってからしばらく経つと、静かに障子の開けられる音がした。

眠る寸前まで意識を持って行かれていたわたしはぼうっと外を眺めた。

「すまぬ、起こしたな」

そこには小狐丸さまがいた。

小狐丸さまも布団に入ると、隣ですやすやと寝息をたてる娘の頭をそっと撫でた。

「かわいいな」

「ふふ、わたし達の子どもですもの」

わたしを撫でる代わりに小狐丸さまは口づけをする。

「いつまでもこんな幸せな日々が続くといいのう」

「そうですね」

「私はお主を最後の最後まで幸せにしてやれるだろうか」

「まだこれからですよ」

「お主が人間という事を承知の上だったのじゃが…いざいなくなることを考えると寂しくなる」

「小狐丸さま…」

人間と刀は当然別途のもの。

わたしだって小狐丸さまだって、人間であるわたしが先に死ぬ事を覚悟して番になった。

けれど、いざ先のことを考えると辛い。

それでもわたしは知っている。

「主さまたちを見て思ったんです。愛は果てしないものなのだと」

その言葉に小狐丸さまは目を見開いた。

「そうか。そうじゃの」

そしてまた口づけを交わす。





この子がいる限り、あなたがいる限り、ここにいるみんながいる限り。




「わたし達の思い出は消えません」



あなたを愛しています。

追憶→←それが愛-小狐丸side-



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抹茶いなり(プロフ) - 御冷ミァハさん» ありがとうございますm(_ _)m学園祭シーズンで忙しくなかなか更新できませんが、がんばります!(*´˘`*) (2016年9月28日 20時) (レス) id: 169debfbe3 (このIDを非表示/違反報告)
御冷ミァハ - 更新楽しみにしています(*´ω`*) (2016年9月28日 1時) (レス) id: a414c3ef52 (このIDを非表示/違反報告)
抹茶いなり(プロフ) - 梅雨さん» あああ(゚д゚lll)本当ですね!!教えてくださりありがとうございます!更新がんばります(*´˘`*)♪ (2016年9月8日 0時) (レス) id: 2d00be186d (このIDを非表示/違反報告)
梅雨 - すごい面白いです!!でも『子狐丸』ではなくて『小狐丸』ではないでしょうか?でしゃばってすみません!!でもとっても面白いので更新頑張ってください!! (2016年9月8日 0時) (レス) id: 6b74b1d272 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:瀬織あやの | 作成日時:2016年9月6日 0時

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