*やきもち ページ15
「こ、小狐丸さまー?」
「…………………」
「今日も相変わらずお美しいですね」
「…………………」
「そういえば、先ほど_____」
あれからすっかりふてくされてしまった小狐丸さまをなだめつつ、わたしは心の中で多大なる謝罪をしていた。
するとどうしたものか、もの凄い勢いで壁に押し付けられてしまったのだ。
「あ、あの……」
恐る恐る顔を上げると、そこには妖艶な笑みを浮かべる美しい狐がいた。
「こっ、小狐丸さま!?」
「……お主が私以外の男と口吸いをしているのを見て黙っておると思ったか?」
「いえ、思いません」
先ほどたっぷりお叱りを受けましたもの。
わたしが言うと、小狐丸さまは今度はいたずらっぽく笑ってみせた。
「それなら尚更じゃ。どうやら仕置が必要なようじゃの」
「えっ、えっ??」
そしてそのままわたしの首筋に口付けた。
ねっとりと絡みつくような感触に思わず声が漏れる。
「ん、んぅ……」
実はいま内番中というのもあって、近くの物置きにいるのだけれど………
「ほら、声を抑えんか。人が来たらどうする」
「やっやめ………っあ」
するりと着物の裾をまくし立てて内腿を撫でた。
瞬間、びりっと背中に電撃のようなものが走る。
これは…完全にスイッチ入ってますね。
「A、『ごめんなさい』は?」
「ごめんなさい!申し訳ありませんでした!!もう二度とこんなことは致しません!!!」
「ははっ、まったく本当にいじり甲斐のあるやつじゃな」
小狐丸さまはわたしの頭をぽんぽんと撫でると唇に指を添えた。
「鶴の次にするのも気が引けるのじゃがな…」
不服そうに愚痴をこぼすと口吸いをした。
「やきもち、でしょうか?」
こらえきれなくなった笑いが込み上げて、思わずくすくすと微笑む。
小狐丸さまはムッと顔をしかめると『悪いか』と言って今度は苦しいくらいにわたしを抱きしめた。
「うれしいです」
わたしはそれだけ呟くと静かに目を閉じた。
こんな幸せな時間がいつまでも続くといいのに。
そんな淡い夢を抱きながら、わたしはしばらく小狐丸さまの体温だけを感じていた。
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抹茶いなり(プロフ) - 御冷ミァハさん» ありがとうございますm(_ _)m学園祭シーズンで忙しくなかなか更新できませんが、がんばります!(*´˘`*) (2016年9月28日 20時) (レス) id: 169debfbe3 (このIDを非表示/違反報告)
御冷ミァハ - 更新楽しみにしています(*´ω`*) (2016年9月28日 1時) (レス) id: a414c3ef52 (このIDを非表示/違反報告)
抹茶いなり(プロフ) - 梅雨さん» あああ(゚д゚lll)本当ですね!!教えてくださりありがとうございます!更新がんばります(*´˘`*)♪ (2016年9月8日 0時) (レス) id: 2d00be186d (このIDを非表示/違反報告)
梅雨 - すごい面白いです!!でも『子狐丸』ではなくて『小狐丸』ではないでしょうか?でしゃばってすみません!!でもとっても面白いので更新頑張ってください!! (2016年9月8日 0時) (レス) id: 6b74b1d272 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:瀬織あやの | 作成日時:2016年9月6日 0時