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「ほら、とりあえず飲みな」
コトンと目の前に置かれるコップ
「ありがとう
ちぃちゃん」
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最近になってよく遊ぶようになったちぃちゃん
多分、いや絶対私の気持ちに気付いてて
それに気づかないふりをしていつも助けてくれる
「あのねっ…」
私はゆっくり話し始めた
お兄ちゃんの彼女が家に来たこと
今まで気付いてたけど気づかないふりをしてたこと
家出をして戻ったら見てしまったこと
「お兄ちゃんのバカっ…
私の心配なんかしないで…あんなこと…」
「A…」
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暖かい
まだ9月だからちょっと暑いけど
心が暖かくなった
私を抱きしめるちぃちゃんの背中にそっと腕を回した
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落ち着いた私に教えてくれた
あの時ちぃちゃんがあの公園にいたのはお兄ちゃんから連絡があったからだって
私の想像の半分は当たっていて、彼女さんが無理矢理やろうって言ってあんなことをしていたって
「そ…なんだ…
でも、別れてないんだね
妹の私がこんなになってるのにっ…」
「せっかく泣き止んだのに、泣かないの」
「お兄ちゃんのバカ…
お兄ちゃんのことなんて嫌いになりたいのにっ…」
頭を規則正しいリズムでポンポンしてくれてるちぃくんの手がもっと涙を流させる
お兄ちゃんのバカ…ほんとに、バカ…
こんなことがあっても私の頭の中はお兄ちゃんでいっぱいなのが悔しい…そう簡単に諦められないよ、お兄ちゃん
だから、気づかなかった
ちぃちゃんが小さく呟いた言葉に
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「…僕のこと好きになればいいのに」
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作者名：いなりずし | 作成日時：2019年8月15日 22時
