妖怪ウォッチを持つ少女は世界に羽ばたく【オリオンの刻印】

〜次なる敵は〜 ページ32

韓国戦から一夜明けた翌日。

「次の相手はオーストラリア、シャイニングサタンズね」

Aがミーティングルームに集まった皆に聞こえる様に言う。

「そのと〜り。皆さんにはこれからオーストラリアの試合映像を見てもらいます。ポチッ」

監督のワンクリックで、スクリーンに映像が映し出された……のだが。
スクリーンに大きく映し出されたのは、ビキニ姿の女性。

「社長さん、ココ、ハワイじゃないネー！」

「……………ハ？」

皆の声がぴったり揃う。それはもう、試合中に発揮してほしいぐらいのシンクロ具合で。

「実は、オーストラリアの映像は入手できなかったのでーす」

「……こんな映像を流した説明になってません……」

Aが監督に呆れの眼差しを浴びせる。
かなり冷たい眼差しだ。

「とにかく。今日のミーティングは中止ー。解散でーすっ」

結局、何がしたいのかよく分からないミーティングとなった。
Aが合宿所の中をうろついていると、たくさんのメンバーを引き連れた監督と鉢合わせた。

「ちょうど良かった。今からおつかいに皆さんを誘いに行くので一緒に来てください」

「分かりました。……ですが、おつかいは引き受けませんので」

「オー、何故です？」

「すみません……私の母の事や『オリオン』について少し調べたいんです」

「成程。では、着いてくるだけ着いてきてください」

「……着いてくるだけですからね？」

ジト目のAを連れ、監督は歩みを進めた。

室内特訓場の扉の前で、監督は止まった。

「誰か使ってるみたいですね……明日人達かな」

「それなら好都合です」

監督が戸を開ける。
その向こうでは、伊那国メンバーが特訓であろう事に必死だった。
何やら、迫り来る大きな球体を避ける特訓らしい。

「ちょっと、何やってるの！？そんなの危ないじゃない！」

真っ先に、Aが叫ぶ。
機械を操作しているのは何と一星。
止まる気配は無い。

「風の、刃！！」

力、もとい妖力を思いきり溜め込み、Aの手から、刃状の妖気が放たれ、球体を吊るしていたレーンが破壊される。Aは休まず続ける。

「妖術･暁ノ菖蒲！！」

両手を使って大きなハートを描き……

「ハァーッ！！」

勢いよく蹴り飛ばす！
ハートは球体にモロでヒットし、球体はぶっ飛ばされながらこっぱみじんに破壊された。

「良かった……！」

Aがため息をついて胸を抑えた。

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