妖怪ウォッチを持つ少女は世界に羽ばたく【オリオンの刻印】

〜暁の姫の力〜 ページ25

後半ではAの他にも交代した選手は居て、ヒロトが負傷した豪炎寺の代わりにFWを受け持っていた。

「……何なのよ、あそこの二人は……」

Aの視線の先には、意味の分からぬ言いがかりや悪口を言い合っている灰崎とヒロトが。

「うっせぇな、この自称神野郎！」

「んだとアホ悪魔！」

「……………」

小学生男子じゃあるまいし。
Aが呆れのあまり沈黙していると、明日人からのパス。

「Aっ！」

「ナイスパス！」

Aは会場中の注目を浴びつつ相手陣まで駆けていく。

「──誰？あの可愛い子？」

「知らないのー？
有星Aちゃんは私的に今一番来てる選手よ？」



「どんなプレーするんだ？」

「技使えるのか？」


会場中がざわめく。

「ここは通さないぞ！」

DFがたち塞がる。

「……では皆さんお待ちかね、『奇跡』をご覧にいれましょう」

Aは素早くアークを握る。

「召喚！
私の友達、出てきて！
ふぶき姫！

開け、友情と勝利の扉！」

神々しい光と共に、妖怪「ふぶき姫」が登場する。

「お久しぶりね、Aちゃん！」

「久しぶり！
早速で悪いんだけど、『いつもの』行くよ！」

「任せて！」

相手からすれば、
『一人で喋ってる残念な美少女』
と言う認識しか持たれていない。

「すご、本当に試合でも使うんだ……」

明日人が呆気に取られつつも呟く。

「ふぶき姫、行くよ！」

「えぇ！」

「「キラキラ雪化粧！！」」

凄まじい氷と雪が相手を飲み込む。

「うわっ！！」

「Aちゃん、頑張ってね！」

「えぇ！」

Aはさっきの技に巻き添えになったDFを難なく突破する。
他の選手、いや会場中は驚きから立ち直れない。

「行くわよ！」

Aがボールと共に空に飛び上がった。

両手で一気にハートを描く。

「妖術・暁ノ菖蒲！！ ──はぁあああぁっ！！」

豪快にハートとボールを蹴り飛ばす。
必殺シュートは韓国ゴールに突き進む。

「ファ、ファイアウォール！！……ぐぁっ！」

「き、決まったぁぁっ！！
有星A、FFI初得点を華麗に決めたーーっ！！」

沸き上がる日本、そして会場。

「有星じゃなくて姫乃ですって！」

Aはぶれずに突っ込んだ。

「す、凄い……」

「あの見た目で……！」

「何だアイツ、強っ！」

剛陣が目を皿のように丸くする。

「──凄い力だな……
だが、有星A、お前はオリオンに来てもらう！」

誰にも聞こえない一星の呟きは、晴れた空に溶けて消えていった。

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