二十三話 ページ25
「ッ…!」
悲鳴嶼さんの継子ではあるのに呼吸は使えない
ましてや鬼を斬ることができないから鬼を喰い
その力で鬼を倒している
陰で呼吸を使えないことを馬鹿にされても
言い返すことはできない
でも、Aさんは馬鹿にしなかった
『凄い』と言ってくれた
それが、とても嬉しかった
「ありがとうございます…!」
『そんな礼を言うことじゃないだろう?』
その時、声が聞こえた
「なぁ、風柱様に弟がいるの知ってるか?」
「知ってる知ってる!ただ、本当に弟なのか?
だってそいつ、呼吸使えないじゃんか。」
「呼吸使えないのによく鬼殺隊続けられるよなぁ。
絶対に柱にはなれないしすぐくたばるだろ。」
…言われ慣れている事だが、腹が立つ。
自分の才能の無さに腹が立つ。
ふとAさんを見るとさっきまで俺と話してた時の顔とは違い
とても冷たい目をしていた
そしてその2人の隊士に近づく
『お前達』
「う、唄柱様!?」
「何故ここに…。」
『お前達は何の呼吸を使う。』
「俺達は水の呼吸です…。」
『なるほど、水の呼吸か…。
鬼殺隊に入って何年目だ?階級は?』
「二年前で今は庚です。」
『庚か…。下から数えた方が早いな。』
そう言ったAさんは馬鹿にしたように笑った。
『先ほどお前たちが馬鹿にしていた不死川さんの弟はお前達より
後に鬼殺隊に入ったのに丁で三つも上だぞ?
不甲斐ないと思わないのか?』
「え、えっと…。」
「それは…。」
2人の隊士は言葉を詰まらせていた
『お前達が下に見ている相手は確実にお前達よりも上だ。
呼吸が使えなくとも努力を怠らない立派な剣士と私は思うぞ。
貴様らは人を馬鹿にする前に鍛錬をするべきとは思わないのか。
人を馬鹿にして努力しない奴は鬼殺隊に必要はない。』
「す、すみませんでした!」
2人は走って逃げていった
『ったく…、ああいう奴らは本当に腹が立つ…。
って、玄弥!どうしたんだ!?』
Aさんが驚いた理由は俺が泣いていたからだろう
止めようと思っても涙は零れ続ける
「嬉しくて…、そんなことを思ってくれる人が
いるなんて、知らなくて…。」
俺はずっと思っていた
才能のない俺が鬼殺隊にいてもよかったのか
俺なんて剣士とはいえないと思っていたのに
Aさんは言ってくれた
『立派な剣士だ』
それが、嬉しくてたまらなかった
玄弥side終了
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すー(プロフ) - 面白いです!続きが更新されるの待ってます。頑張ってください。 (2020年10月23日 18時) (レス) id: 91e5b79796 (このIDを非表示/違反報告)
かりん - はじめまして最初から読んでいます。私は映画を公開初日に見に行きました。もう、一言で言い表せないぐらい感動して泣いちゃいました。これはもう2、3回見るべきです。小説のほうも楽しみに待っています。 (2020年10月21日 0時) (レス) id: 029fc8293f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Rei | 作成日時:2020年5月31日 21時