§２３４§ ページ37
しかし、ヒロトは2人のディフェンダーに阻まれ
ヒロト)豪炎寺君、虎丸君！
と、パスを出した。
そのパスを虎丸が受け取り
虎丸)豪炎寺さん！
今度こそあれを決めましょう！
という。
貴)(豪炎寺…。)
今度は、成功するよね…？
豪炎寺は、悔しそうにふと観客席を見る。
観客席の上にはやはり豪炎寺の父親の姿が…しかし、それは幻覚。
誰もいない。
貴)…誰もいないけど…。
豪炎寺何でしばらく見てたのかな…。
虎丸)タイガー…。
豪炎寺)ストーム！
貴)これはダメだ…。
豪炎寺はまだ父親の事を気にしている。
そんなんじゃ、本気…出せないでしょ？
推測通り、ボールの威力は消え、ボールはゴールの上を通り過ぎた。
実況)おーっと、またもゴールならず！
ピーッ！
虎丸)豪炎寺さん…。
前よりもっとタイミングがずれてますよ！
本当にどうしたんです！
豪炎寺は何も語らずにただ
豪炎寺)すまない。
と言った。
虎丸)豪炎寺さん？
とぼとぼと前から歩いてきた豪炎寺と僕の眼が合う。
貴)…。
いい加減、気持ち引き締めろよ！
前を向けよ、豪炎寺！
豪炎寺)…。
貴)ウダウダしたって、お父さんを思い出したって、関係ない！
僕はそんな情けない奴は豪炎寺だなんて思ってないぞ！
僕は信じてる！
ちゃんと前を向いて！
豪炎寺)…。
(円堂と言ってる事がほぼ同じ…。
流石従兄弟だな…。)
少し表情が和らいだ豪炎寺に、僕もやんわりとする。
しかし、僕は此処で重要な事に気が付いた。
空気が違う…、風が教えてくれてる…。
慌てて辺りを見回すと、皆の士気が下がってきていると同時に、皆の心がバラバラになって行くように感じた。
ど、どうしよう！
お願いだから、もう気付いて馬鹿にぃ！
僕じゃこれ以上皆のフォローなんて…。
馬鹿にぃじゃないと…。
思わず今まで溜め込んでいた涙がまた目に溜まる。
泣いちゃ駄目だ…。
その時、目に映ったのは守にぃ。
守にぃは動いていた。
やっと…分かったんだ…。
僕は、皆が動くより前に素早くボールを外に出した。
ピーッ！
皆息が上がって辛そうだ。
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作者名：紫音
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/shionn/
作成日時：2014年4月20日 21時
