第250話 ページ5
土方｢ほら、もう泣くな。｣
土方は泣いている男の子に近付いて、男の子の頭を撫でた。
｢だって、僕のボールを！｣
A｢はい。｣
私は男の子と同じ目線までしゃがんで、ボールを渡した。
｢あ…ありがとう！｣
A｢うん。｣
黒ずくめの男達は、車に乗って行った。
｢ちくしょう！ガルシルドめ！｣
土方｢え？｣
A｢ガルシルドって…｣
｢よせ、もういい！来い。｣
ザ･キングダムの選手は、男の子の手を引き、歩いて行く。
私達は、ザ･キングダムの選手についていった。
｢何か用か？｣
円堂｢ロニージョに会いたいんだ。どこにいるか知らないか？｣
｢さぁな。｣
鬼道｢さっきの男達は何者だ？｣
土方｢ガルシルドめって言ったよな？
自分達の監督を、そんな風に言うなんて、変だぜ。｣
円堂｢ロニージョが負けてくれと頼みに来たことと、関係があるのか？｣
｢何！？｣
円堂｢知らなかったのか？｣
｢ロニージョの奴、そこまで思い詰めていたのか…｣
｢兄ちゃん達がこんな苦しい思いをしているのは、ガルシルドのせいなんだ！｣
皆｢！？｣
円堂｢どういうことなんだ？｣
｢みんな騙されたんだよ！｣
土方｢騙された？｣
円堂｢話してくれないか？｣
｢ガルシルドは、貧しくて困っていた俺達に、サッカーをするためのお金や場所を提供してくれて、家族にも仕事を与えてくれた。
でも、あいつの命令に逆らったり、試合でミスをしたら、厳しい罰を受けるようになったんだ。
俺達の家族にまで…｣
A｢っ！｣
土方｢何？｣
｢ガルシルドは、自分の作戦通り、完璧に勝つことを要求した。ミスは一切許さない。だから…｣
ヒロト｢選手への負担が、物凄く大きいのか。｣
｢既に2人、オーバーワークで動けなくなってしまった。
このままでは、二度とサッカーが出来なくなる奴も出てくる。｣
A｢二度とサッカーが…｣
円堂｢そうだったのか…｣
｢ロニージョは君達を、強いチームだと認めたからこそ、負けてくれと頼んだんだ。
確実に勝って、チームメイトや家族を守るために、自分のプライドを捨てて。｣
土方｢家族を守るためって？｣
｢罰は家族にもって言っただろ？
もし試合に負けてしまったら、俺達も家族もどうなるか…｣
A｢そんな…｣
土方｢それじゃまるで、人質みたいなもんじゃねえか！｣
｢くっ…｣
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作者名：苺の花 | 作成日時：2019年5月10日 12時
