第61話 ページ12
吉良“さぁ、今日から、ここが君の家だよ。”
A“…”
吉良“Aちゃん。
今は、悲しむだけ悲しんだらいい。
そしたら、私を父さんと呼んでくれないか？”
私は、思い出した。
お日さま園に初めて来た時のことを。
吉良｢ヒロト…お前はそこまで私を…
私は間違っていた。私にはもう、お前に父さんと呼んでもらえる資格などない。｣
お義父さんは、ボールを玲名に投げた。
吉良｢さぁ、打て。私に向かって打て、ウルビダ！｣
グラン｢父さん！｣
吉良｢こんなことで、許してもらおうなどとは思っていない。
だが少しでもお前の気がおさまるのなら…さぁ、打て！｣
ウルビダ｢うっ…うわあああっ！｣
A｢玲名！｣
ウルビダ｢打てない…打てるわけない…だって…だって貴方は…私にとっても大切な父さんなんだ！うっ…うぅ…｣
吉良｢ウルビダ…｣
玲名の泣き声に、みんなも泣き出す。
A｢うっ…｣
泣いてるみんなを見ていると、私も涙が溢れてきた。
吉良｢私は人として恥ずかしい。
こんなにも私を想ってくれる子供達を、単なる復讐の道具に…｣
鬼瓦｢話してもらえませんか、吉良さん。
何故、ジェネシス計画などというものを企てたのか。
どこで道を誤ってしまったのか。
巻き込んでしまったあの子達のためにも。｣
私は涙を拭いて、お義父さんを見た。
吉良｢グランの言う通り、私にはヒロトという息子がいた。
とてもサッカーが好きな子で、夢はプロの選手になることだった。
だが、サッカー留学をした海外の地で、謎の死を遂げたのだ。
私は真相の解明を求め、何度も警察にかけあった…
だが、事件に政府要人のひとり息子が関わっていたとかで、結局ヒロトは事故死として処理された。
あの時の悔しさは、今でもはっきり覚えている。息子に何もしてやれなかった悔しさ…そして、あの喪失感…
息子を失い、心に大きな穴のあいた私は、生きる気力さえ失っていた。
そんな時だった。
瞳子が私に、親を亡くした子供達の施設、お日さま園を勧めてくれたのは。
始めは娘の頼みだと思い作ったお日さま園だったが、子供達の笑顔に私の心の傷も癒えていったのだ。
本当にお前達には感謝している。
お前達だけが、私の生き甲斐だった。｣
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作者名：苺の花 | 作成日時：2019年4月9日 15時
