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彼女が人間関係で苦労するところなど、想像ができなかった。
だが、次の言葉で俺は思わず口を緩めた。
『うん。人間関係、考えてたらさぁ……好きとか嫌いとか、なんかもう、どうでもよくなっちゃった』
「ふーん？」
口がだらしなく緩んでしまう。
だって、どうでもよくなってしまうくらいに考えてくれたんだろ？ どうでもよくなってしまうくらいに、真剣に考えてくれたんだろ？ それって、すっげぇうれしいじゃん？
『私をいじめて楽しいわけ？ サイッテー』
「いや？ だって、俺のこと真剣に考えてくれてたんだろ？」
『……バッカじゃないの？』
「一匹狼のおまえが、そこまで考えてくれるとか……嬉しすぎる」
『〜〜〜っ！ 別にそんなつもりじゃ……っ』
「ははっ、照れてやんの」
『切るよっ！？』
「待て待て待て！ 悪かったって！」
ころころと表情が変わっていくその様子が目に浮かぶ。もしも本当に彼女が転校しなかったら、こんな時間がずっと続いていたのかなと、またありもしない“もしも”の世界を考えてしまう。
「なあ、A？」
『なに』
今度は少し怒りの色を滲ませた声が聞こえる。最初よりは元気になってくれてほっとした。
「違ったら自意識過剰とか思うかも知んないけど……おまえ、小学生のとき俺のこと好きだっただろ？」
『…………は？ え！？ いやいやいや、えぇえ！？』
わかりやすすぎだろ、と心の中で呟き、どうしようもないくらいに嬉しくなる。自分の好きな人の好きな人が自分だってわかったら、誰だって嬉しいだろ？
二年とちょっと越しに、俺らの気持ちが一緒だったということを知った。
だが、それと一緒に疑問も出てくる。
「好きだったら、なんで断ったんだよ」
『だから！ 好きじゃな……』
「ダウト」
『…………』
黙り込んでしまった彼女を、待つ。話してくれるまで、待つ。
これはずっと知りたかったこと。キスをしたあの日から、ずっと気になっていたこと。
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りこりこ(プロフ) - 小学生の時ぶりにひさしぶりにイナゴのよむきっかけになりました!!ケータイ小説なんかより100倍本当におもしろかったです()鬼いい話でした(TT)ほんとありがとうございました..！！ (2021年1月13日 15時) (
レス) id: 50104cfcb2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：十五夜だんご | 作成日時：2020年10月2日 20時
