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この言葉を口に出すのには、とても勇気がいるけれど。でも、彼も言ってくれたから。それに、私も答えようと思う。
彼の気持ちに、答えようと思う。
「私、好きだよ」
「…………！」
「豹牙のことが、ずっとーー」
「…………A？」
好きなんだよ。そう言おうとしたけれど、言えなくなってしまった。私は声がした方向を見ようとするが、
「…………」
「わ、ちょっ、豹牙？」
豹牙にぐっと頭を抱き寄せられて見えなくなる。一瞬だけ見えたその人は、困惑したような表情でこちらを見ていた。
「……あんた、霧野蘭丸だろ？ 雷門のDF」
「そうだけど」
「こんなとこでなにやってんだ？」
彼は私を一層強く抱きしめる。それに霧野は苛立ちのこもった口調で、それはこっちのセリフだ、と言う。
「Aになにをした？」
「…………は？」
聞いたこともないような、低い声で唸るように豹牙が言った。いや、一度だけ、たった一度だけこんな声を聞いたことがある。私がちょっとだけ、仲間外れにされていて、悪口を言われた時。その時も彼はこんなトーンの声だった。瞳に燃えるような怒りを宿しながら、主格犯に詰め寄っていた。
だからきっと、彼は今も怒っている。
「は？ じゃなくてさ。俺の彼女になにしてんのって言ってんの」
「…………」
一瞬、豹牙の腕に力が籠るが、そういうことか、と呟くと腕を解く。私を霧野の方に押し出す。すると霧野が近寄ってきて私を背に隠した。
「……そういう、ことかよ」
「なにがだよ」
「あんたには言ってねえよ。その後ろにいるAに言ってんだ」
それに霧野は私の手をぎゅっと握り、こちらから豹牙が見えないようにしようとする。けれども私は彼の背から顔を出して、豹牙を見た。
彼は、怒っていた。
彼は、悲しんでいた。
彼は、壊れそうになっていた。
いろんな感情がごちゃ混ぜになってしまって、おかしくなってしまいそうになっていた。
「豹牙、」
「軽々しく俺の名前を呼ぶな！」
「…………っ」
彼に怒鳴られて肩をびくつかせる。そんなことを言われたのは初めてで。そうそう言われるはずのない言葉を、拒絶の言葉を言われて絶句する。
好きで好きで、どうしようもない相手に拒絶されて、頭が真っ白になる。
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十五夜だんご - Raiさん» ありがとうございます。始まって一か月以上経つのに相変わらず無名な作品ですが、よろしくお願いします。 (2020年9月20日 19時) (
レス) id: 55db7e7529 (このIDを非表示/違反報告)
Rai - やり方はそのまま画面にペースト、編集パスワード、通常検索など出てくると思います (2020年9月19日 17時) (レス) id: ccf4aab007 (このIDを非表示/違反報告)
Rai - 初めまして霧野君かっこ良く好きで楽しみにしていますもし良かったら参加可能でしたら嬉しいです「 https://uranai.nosv.org/u.php/event/kouooue/」「あなたの小説読ませて下さい。」 (2020年9月19日 17時) (レス) id: ccf4aab007 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：十五夜だんご | 作成日時：2020年8月13日 18時
