23 ページ23
のんびり、ぼんやりとしていると、あっという間に一日が過ぎ去ってしまう。今日はそんな日だった。だが、俺はただ単にボケーっとしていたわけではない。
なんとなく、授業に集中できなかっただけだ。
それは、あの夢のせい。あの、俺からしたら馬鹿馬鹿しいとしか思えない、夢のせいだった。
「…………」
あの夢に出てきた、一人の少女。艶やかな黒髪に、透き通った蒼い瞳を持つ、少女。それが、どうしても。
「…………」
どうしても、Aと重なってしまうのだ。
あの少女は、Aと瓜二つだった。もう、同一人物だと言えるくらいにそっくりだった。
じゃああの夢は、一体なにを示していたのか？
そもそも夢なんだから気にしなくったっていいが、なぜかどうしても気になってしまって、彼女を目で追う。そして彼女がこちらを見ると、逸らす。その繰り返しだった。
「…………」
Aがなにやら神童と話していて、その光景を穴が開くほど見つめる。すると不意に二人がこちらを振り返って。
片方は、不機嫌そうに眉根を寄せて。
もう片方は、なにかを企むような笑みを浮かべて。
嫌な予感がした。と同時に、神童に呼ばれる。
「なんだ？」
「嫉妬か？」
「なわけないだろ」
「そんなおまえにいい知らせだ。今度の委員会の仕事、代わってくれるか？」
どこがどういい知らせなのかさっぱりわからない。
「……どこが、」
「Aも一緒だ。頼めるな？」
言葉を遮られた上に、拒否権はなさそうだった。それに渋々、わかった、とうなずくと今度は神童の後ろからAがひょっこりと顔を出す。
「別に私一人でもできるよ？ 試合近いんでしょ？」
優しい言葉とは裏腹に、やたら目が据わっている彼女に恐怖を覚える。これは……やったほうがいいのか、やらないほうがいいのか。
彼女は基本的に効率を重視している。だから筆箱も男子が使うようなものだし、シャーペンもボールペンも機能性に特化した物だが、それは今は関係ない。
彼女は誰かと協力することを嫌う。彼女いわく、「自分一人でできることをわざわざ分けてやる必要性を感じない」だそうだ。「一人でやったほうが早く終わる」とも言っていた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 16人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
十五夜だんご - Raiさん» ありがとうございます。始まって一か月以上経つのに相変わらず無名な作品ですが、よろしくお願いします。 (2020年9月20日 19時) (
レス) id: 55db7e7529 (このIDを非表示/違反報告)
Rai - やり方はそのまま画面にペースト、編集パスワード、通常検索など出てくると思います (2020年9月19日 17時) (レス) id: ccf4aab007 (このIDを非表示/違反報告)
Rai - 初めまして霧野君かっこ良く好きで楽しみにしていますもし良かったら参加可能でしたら嬉しいです「 https://uranai.nosv.org/u.php/event/kouooue/」「あなたの小説読ませて下さい。」 (2020年9月19日 17時) (レス) id: ccf4aab007 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：十五夜だんご | 作成日時：2020年8月13日 18時
