デジャヴ ページ10
魔の三日目の音駒戦と鴎台戦はどちらも山形さんに任せることになった。
実際、俺は上の舞台で二試合連続出場をしたことはなく、現地で見たこともない。
正しい判断だ。出たいかどうかは置いておいて。
「影山、聞きたいことが二つくらいあるんだけど良いか?」
試合前ギリギリになってでも解決したいのか。
さっきまで監督からのアドバイスを聞いていたから、俺に答えられる問題なら答えたいと思うが。
「俺で良いんすか?」
「影山に聞きたいんだよ。レシーブのとき、一瞬飛ぶだろ?あれってどんな意味だ?」
スプリットステップのことか。
「身体の向きや、重心がリセットされて動き出しが比較的楽になります。タイミングがズレると致命傷っす」
そう言うと、山形さんは一度考える素振りをした後、再び顔を上げて二つ目の質問を口に出す。
「じゃあ、レシーブの直前は何を視て何を考えてる?」
直前……。
特に意識したことは無いが……よく試合後の記憶に残っているのは……。
「すんません、曖昧っすけど、一番視てんのは手首……?」
ボールの芯との位置関係やコース、スピードもある程度予測できる。
「考えてんのは次の攻撃のことっすかね。誰がどう攻撃するには助走にどのくらいかかるか、開けておくべきコースはどこか、とか」
攻撃陣を助けるために俺は立っている。
スパイカーの百パーセントを引き出すためのリベロだ。
「あとは純粋に自分がしてぇプレーをしてます」
Aパスを上げたら、そりゃあ気持ちいい。
歓声が上がれば、そりゃあ楽しい。
自分のしたいプレーに忠実でいること。それをしていないとプレイヤーとしての自信を失う気がする。
俺のコート上の存在価値を証明するのは他人だ。
俺がどれだけ頑張っても、観客や監督、チームメイトがいらないと言えばいらない。
チーム競技とはそういうものだ。
「……おっし!ありがとな!明日も頑張るかー!」
「今日はしっかり休んでください」
今日は試合に出てないからと練習しそうだと感じ忠告する。
「じゃあちょっと付き合ってくれ!ちょっとだけ!」
まぁ、少しなら。
試合後とはいえ、動きの確認もしてぇし。
「山形さん、オーバーワーク常習犯に声かけないでください」
了承のヘンジをしようとすると白布さんが止めに入る。
「そうですよ!練習なら俺が____」
「お前はさっさと寝ろ。今日は打数多めだろ」
「ケンジローきっつーい。俺は練習参加しないけど」
騒がしくなってきたため、ミーティング後はパス練だけにした。
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ゐほ(プロフ) - ちぃさん» ありがとうございます!!ストイックな感じを出したかったので上手く伝わって嬉しいです……!応援に答えられるように頑張ります!! (3月1日 19時) (レス) id: 322cc096fc (このIDを非表示/違反報告)
ちぃ(プロフ) - めっちゃ大好きですこの小説!ボールを綺麗に上げることだけじゃなくセッターが上げやすいレシーブにするっていう自分への厳しさ?みたいな感じがすごく好きです!!毎日更新楽しみにしています。応援してます! (3月1日 18時) (レス) @page17 id: 4eb3235a56 (このIDを非表示/違反報告)
ゐほ(プロフ) - はるさん» ホンマですか?!めっっちゃ嬉しくてモチベ激上がりしてます!!最近更新遅いので前作紹介の下の公開予定の三十分後が目安になってます💦 (2月26日 22時) (レス) id: 322cc096fc (このIDを非表示/違反報告)
はる - ガチで大好きです‼️毎回毎回最新話出てるかな?って確認してます! (2月26日 22時) (レス) @page15 id: fca3faa208 (このIDを非表示/違反報告)
ゐほ - ミミさん» 春高編、気合い入れていきますよ!! (12月28日 21時) (レス) @page2 id: 3242fac10c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ゐほ | 作成日時:2023年12月27日 10時